中国山地幻視行~窓が山・西峰直登は人影なく [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~窓が山・西峰直登は人影なく
目前に古いザイルが下がっていた。ここからしばらく岩稜帯が続く。やがてザイルは新しいものに変わった。こちらは太く、しっかりしている。ここを我慢すれば、登山道は平たんになる。
窓が山(711㍍)。羽虫の襲来を警戒し、防水スプレーと蚊取り線香を携行した。しかし、結果的に不要だった。晴れているが風があり、気温は21度あたりを指していた。
双耳峰のかたちをした窓が山の、まず西峰に登頂。誰もいなかった。いったんキレットの底に下り、登り返す。東峰の登りでは、立派な鎖が出迎えてくれる。西峰から30分ほど我慢すれば、東峰の頂に立てる。三角点は西峰にあり、東峰は展望がきく。東峰についたのとほぼ同時、団体が登ってきた。おそらく奥畑からだろう。小さな子を含め、年齢層はさまざま。地域住民のグループかと思い聞いてみたが違った。ある人物を中心にした集まりのようで、それ以上は聞かなかった。
帰途は再び西峰を目指し、魚切まで下った。登りでは倒木が目立ち、道に倒れ掛かった巨木の幹に2度ほど頭をぶつけた。急斜面は枯葉が積もり、特に下りでスリップした。団体が登っていた東峰コースは登山口から30分ほど。魚切から西峰直登は、1時間半はかかる。そのせいだろうか、踏み跡が年々薄れていくようだ。寂しい限りだ。
中国山地幻視行~恐羅漢山・忘れ物を取りに [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~恐羅漢山・忘れ物を取りに
ゲレンデの横を登っていくと、小さな羽虫がまとわりついた。もうそんな季節なのだ。こんなことなら携帯用の蚊取り線香を持ってくるんだったと悔やんだ。羽音に交じって下の方からエンジン音が追っかけてきた。かなりの急坂である。普通の車ではない、キャタピラ式の雪上車のようなものに数人が乗り、追い越していった。シーズンオフに何やら工事をするための、事前の調査らしきものか。多くは共通の制服を着ていた。
ゲレンデを登り終え、休憩とした。太陽光がまぶしい。暑い。汗をぬぐい、一息ついたのち林間に入ると風が涼しくなった。その代わり、羽虫の量が増した。
6月5日、恐羅漢山(1346㍍)。4月に予期せぬ雪で撤退、忘れ物を取りに来た気分で登った。季節は巡って緑が深かった。山頂には一人、男性がいた。大きな塊を切っているところだった。よく見るとカツオのたたきだった。近くに座り、こちらも昼食とした。コンビニで買った握り飯にカップヌードル。グルメ風の先方と違って、究極のインスタント飯である。握り飯をほおばると「どうぞ」とカツオのたたきを差し出された。固辞したが再び差し出され、一切れ味見をした。うまかった。
下りは夏焼峠を回った。深い緑を楽しみたかった。ゲレンデには小さな黄色い花が咲き乱れていた。一見タンポポだが、時期は過ぎている。ニガナにしては花弁が多い。オグルマとは葉の形が違う。外来種でブタナというのがあるそうで、時期的には合っている。なんだろうか。