中国山地幻視行～白木山・春の日差し

中国山地幻視行～白木山・春の日差し

 

　路肩に車を止めた。辛うじて１台分空いていた。世の中はコロナウイルスで大騒ぎというのに、この山の人気は相変わらずだ。

　３月12日、白木山（890㍍）。幸い、天気は最高だ。雲はほぼない。気温15度、微風。身支度を整えていると、短い挨拶をして女性が過ぎていった。なんとはなし「急がねば」と思ってしまった。

　３合目あたりで小休憩をとっていると、高校生ぐらいの数人。一斉休業でエネルギーを持て余しているのだろうか。駆けるように登っていったので、声をかける暇もなかった。若さがうらやましくもある。彼らの年の頃に比べて今や倍の時間がかかってしまう身としては。

　どうやらこうやら、山頂の広場に着く。先ほどの若い集団のほか、数人が寝そべっていた。空の低い位置にぷかりと小さな雲が浮かんでいるが、頭上は見事に青一色。北の方面に目をやる。霞んではいるが、なんとか山座を同定できた。あれが深入山、その左に砥石郷、恐羅漢、十方、吉和冠…。しかし、写真にするとどうにも判然とはしなかった。

　春の日差しをひと時楽しんだ後、下山はいつもの通り、地蔵さんの表情をカメラに収めながら下った。この山の楽しみはこれに尽きるのだ。平地では白梅が満開だった。

 

肉眼では山座同定できたが…

広島湾も霞む

三篠川方面を見下ろす

頭上は見事に晴れ上がっていた

地蔵さんのいる風景

満開の白梅が春を告げる

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