中国山地幻視行~大峰山・雪山再訪 [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~大峰山・雪山再訪
目の前に現れたのは、12月19日とあまり変わらない光景だった。雪に覆われた階段状の急登。汚れ具合が、降雪以来の日数を物語っていた。あの日、苦汁をなめたのはアイゼンの故障のせいだった。安くもない6本爪は新調した。平地ではこれほどの雪は想定しづらかったが、それでも、と思いザックに忍ばせてきた。
2月4日。気温はまだ氷点下であろう。物語るように、雪の切れはしからのしたたりは凍り付いていた。アイゼンを履く。ざくざくと気持ちよく刺さる。
山頂の大岩から見上げる空は快晴だった。
下降に移ると、八畳岩の雪上にイノシシらしき足跡を見つけた。断崖の上部から遠くを眺めていたように思えた。足跡を追って広島湾を眺めたが、イノシシらしきものの気持ちはわからなかった。