中国山地幻視行~三倉岳・冷気は一段と厳しく [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~三倉岳・冷気は一段と厳しく
大寒翌日の1月21日、三倉岳に登った。天気予報は晴れだったが見事に外れ、曇り時々小雪模様という天候だった。暦通りの寒さに余裕もなく、気温は測っていないが氷点下かそれに近かったと思われる。
駐車場に車はなかった。麓のキャンプ場から山道へ向かう途中の木橋もうっすら雪が積もり、足跡はなかった。こんな日に山に登る酔狂はお前ぐらいだと、どこからか聞こえてきそうだった。
9合目の稜線まで出ると、雪道になった。しかし、アイゼンがいるほどではなかった。相変わらず人間の足跡はなかったが、動物のそれが目に留まった。形からしてイノシシであろう。
山頂に着くと、冷気は一段と厳しくなった。手袋の中の指先が凍えるようだった。こんなとき、思い出すのは加藤文太郎「単独行」の一節である。厳冬の山小屋で凍ったかまぼこをかじりながら「なんで俺はこんなことをしているのだ」と自問している。まあ、それに比ぶべくもないのだが。
駐車場に車はなかった。麓のキャンプ場から山道へ向かう途中の木橋もうっすら雪が積もり、足跡はなかった。こんな日に山に登る酔狂はお前ぐらいだと、どこからか聞こえてきそうだった。
9合目の稜線まで出ると、雪道になった。しかし、アイゼンがいるほどではなかった。相変わらず人間の足跡はなかったが、動物のそれが目に留まった。形からしてイノシシであろう。
山頂に着くと、冷気は一段と厳しくなった。手袋の中の指先が凍えるようだった。こんなとき、思い出すのは加藤文太郎「単独行」の一節である。厳冬の山小屋で凍ったかまぼこをかじりながら「なんで俺はこんなことをしているのだ」と自問している。まあ、それに比ぶべくもないのだが。