中国山地幻視行~旧寺の枝垂れ桜・白木山 [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~旧寺の枝垂れ桜・白木山
春山の季節である。中国の表現では「山笑う」という。さて、どこへ登ろうか。頭に浮かんだのは、ある山のふもと、旧寺の境内の枝垂れ桜である。今頃、咲いているのではないか。
4月12日、白木山に向かった。登山者はぼちぼち。季節としては暑くもなし、寒くもなし。いいころ合いである。
前回、3月に登った際には霞がかかって展望はなかったが、この日は広島湾までよく見えた。北に目を向けると、深入山の特徴的な山容が確認できた。山頂付近には馬酔木の小さな白い花が満開であった。下りに差し掛かるとピンクの馬酔木の花。これも自生だろうか。足元には枯葉に埋もれそうな紫の小さな花。名前は分からない。
のんびりと下り、ふもとの寺へと向かった。門構えの看板はにじんで読みにくいが「順覚寺」とある。門をくぐってすぐ右側に、その枝垂れ桜はある。ちょうど満開であった。静かな境内でしばらく眺め、家路へと急いだ。寺の外壁には、白い椿が楚々として佇んでいた。