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中国山地幻視行~道後山・台風の後 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~道後山・台風の後

 

 カメラを構えていると、男女の二人連れが登ってきた。声をかけた。

 「ほら、あそこに見えるでしょ、大山」

 「えっ、どこに」

 「あの雲の下」

 9月8日、岩樋山(1271㍍)。広島県北に位置する。大山はここから北東へ約50㌔先にある。台風10号の置き土産か、風が強かった。それが見晴らしをよくしたのであろう。普段は見えない大山が見えた。足元にちらほらとマツムシソウ。そしてハクサンフウロ。フウロは咲き頃であったがマツムシソウは終わりかけていた。

 「あと1週間早ければよかったですね」と私。

 「そうですか」と先方。

 たしかに、台風のせいで延び延びになっていた。昨年も一昨年も、この山に来たのは9月初頭だった。マツムシソウの花弁は今年のようにくたびれてはいなかった。

 

 道後山に向かった。岩樋山を下り、小さなピークを越え、緩やかで快適な草原の道を行くと山頂の標識。標高1269㍍。岩樋山より2㍍低い。

 山頂で昼食をすませ、直下の大池へ向かう。草生した池のそばに咲くサワギキョウを見るためだ。まだ咲いているだろうか…。時期の遅れが気になった。

 湿地に足を踏み入れた。昨年咲いていた場所にはなかった。さらに奥へ進む。2輪だけ咲いていた。間に合った。なぜか安堵の気分だった。名前と違いキキョウとは似ても似つかない。毒草である。横溝正史の小説にも殺人の小道具として登場する。それほど強烈な毒を持つという。しかし、山蔭にひっそり咲く立ち姿は、清楚である。



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岩樋山の山頂。標識は地味である

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なだらかな草原の向こうに道後山

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なんだかこちらの方が威張っている。標高は岩樋山に負けるのだが

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道後山の山頂。雲が流れ、のどかだ

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道後山頂で、来し方を振り返る

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見えるだろうか。50㌔先の大山(道後山頂から)

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マツムシソウ

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ハクサンフウロ

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リンドウ。岩樋山~道後山の路傍に咲いていた

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サワギキョウ

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コメント 3

ぼんぼちぼちぼち

山のリンドウ、いいでやすね。
紫色がとても綺麗でやすね。
by ぼんぼちぼちぼち (2020-09-10 22:12) 

Jetstream

こんばんは、台風の余波も感じられない登山道、気持ちよさそうです。!(^^)!
by Jetstream (2020-09-10 22:24) 

asa

≫ぼんぼちぼちさん
リンドウの紫はいいですね。この花をみると秋だなあ、と思います。

≫Jetstreamさん
幸い、といってはいけないのですが、当地方は台風10号の影響はそれほどありませんでした。標高1000㍍を散歩する気分のこの縦走路はかなり好きです。
by asa (2020-09-11 11:36) 

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