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オセアニア幻視行~ニュージーランド・大地と空の原初的記憶=㊤ [アジア・オセアニア幻視行]

オセアニア幻視行~ニュージーランド・大地と空の原初的記憶=㊤


〈テカポ゚湖に映るアオラキ/マウントクックを見た〉

 

 高度1万㍍を保って赤茶けた大地の上を延々と飛んだ機体は、いったん洋上に出た後、しばらくしてぐんと高度を下げた。窓下に広がっていた雲海はいつしか消えた。機体が大きく左に旋回し、主翼が下がってオーストラリアの乾いた大地とは違う、緑の平野が広がった。ニュージーランドである。関空を出てシンガポール経由、飛行時間計16時間の後に見たオセアニアの果ての大地。

 南島クライストチャーチに着陸後、バスでさらに南へ500㌔、クイーンズタウンに向かった。その中間点あたり、プカキ湖では快晴の空のもと、サザンアルプスの盟主アオラキ/マウントクックを眺めた。3724㍍。富士山よりやや低い。だが山のかたちは峻烈で多くの氷河を抱く。タスマン海からの湿った西風が年間15000㍉ともいわれる雨と雪を降らし、それが厚さ70㍍の雪の塊を作るといわれる。そうした過酷な気象がいくつもの太い氷河を形成する。

 しかし、氷河から流れ込むプカキ湖の水面は青と白の混じった不思議な色をして、アオラキ/マウントクックをこの世とは隔絶しているかのようだった。エベレスト初登頂をなしたエドモンド・ヒラリーが家業の養蜂業のかたわら、野心を胸に登った山はこのとき、あくまでも美しく神聖に見えた。

    ◇

 3月中旬に約1週間、ニュージーランドを訪れた。日本の4分の3ほどの地に500万人足らずが住む国。印象深かった大地と空の風景を点描する。

 

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アオラキ/マウントクック。石を削った氷河が流れ込むプカキ湖は、不思議な色をしていた。アオラキはマウイ語で「雲を貫く」の意だという

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機体が傾き、ニュージーランドの平原が広がった。はるかにサザンアルプスが望めた

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特に南島は原初の大地が広がる。こうした風景は毎日見ることができた
 

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