中国山地幻視行~残雪の風景を追って・毛無山 [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~残雪の風景を追って・毛無山
仕事に縛られているうえに身内の不幸があり、この2カ月間、山に登ることができなかった。やっと解放されて、まだ残雪の山は間に合うだろうと思っていたところ知人から声がかかり、向かったのは広島県北の比婆連山だった。
雪はあるだろう、どころではないたっぷりの雪だった。その景色を見ながら、まず出雲峠に向かおう、そこから右へ向かうか、左へ向かうか。そんな考えで登山口の六の原駐車場を出発した。
既に時計は10時を回っている。相変わらずののんびり登山だ。この調子では比婆連山を一回りするのは、雪の多さから見ても難しいだろう。毛無山にしようか。「出雲峠」の標識をみながら、そんな合意が成立した。
気温は低い。上空に寒気団が舞っているせいだろう。おかげで、雪は固く締まっている。春の腐った雪を予想したが、そうではなかった。カンジキを持ってきたが、必要なさそうだ。ザックに忍ばせた6本刃のアイゼンが役に立ちそうだ。そんなわけで、途中の休憩がてら、アイゼンを取り付けた。
毛無の山頂はだだっ広い草はらだ。寒風が吹き付ける。上空の寒気団のせいだろう、晴れたかと思えば曇り、時折り雪が舞う。めまぐるしい。だれかが背後を指差した。雪をかぶった山々の中でもひときわ白く輝く山。吾妻山である。女性の後ろ姿に例えられる優美なかたちが映える。
晴れていれば、白い大山が見えるはずだが、忍び寄るガスのせいでついに現認することはできなかった。その方向の手前、特徴ある山容は船通山であろうか。
毛無の向かいにあるスキー場はたっぷりの雪で白く光っていたが、リフトは既に動いていない。「もったいないなあ」とだれかがつぶやいた。この感じだと、雪は1㍍近くありそうだ |
白く輝く吾妻山(中央) |
伊良谷山への縦走路に踏み跡はなかった |
大山は見えなかった。手前の山は船通山だろう |
スキー場は、祭りの後の寂しさ |
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