中国山地幻視行~雪上の墨絵・吉和冠 [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~雪上の墨絵・吉和冠
ブナの巨木が立つ四つ辻までくると、男性が立っていた。「雪は新しいですね。最近降ったのかな」と問われて「そうですね、新しい雪ですね」と応じた。平地では昨日、雨だった。ひょっとするとこのあたりでは雪だったのかもしれない。男性はそのまま下って行った。
雪は固く締まっていた。途中から6本歯のアイゼンを着けて登ってきた。背中のザックにはかんじきも取り付けてあるが、どちらでもいいような雪質だった。しばらく歩くと、日が陰った。しばらく林間を眺めていた。雲が流れるのだろう。日が陰り、また差す。そのたびに、枯れた枝の影が、影絵のように雪上に浮かんだり、消えたりした。
ずぼらな生活のため、また出発が遅れてしまった。時計はもう正午近くを指している。この影絵を見ながら昼飯を食うか。山頂を踏むことなどどうでもよくなっていた。もう数え切れないほど登った山だ。たまにはこうした山行もいいだろう。
2014-03-16 18:53
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コメント(3)
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登り慣れた山を自分のペースで登る、いいですね。 雪に映る木々の影、クッキリと写って綺麗なので好きです。
by おど (2014-03-17 12:39)
ガリガリ登るだけが山登りではないですね。 頂をきわめなくとも楽しめる山行もいいと思います。 私もよく出遅れます。 (笑)
by Jetstream777 (2014-03-17 21:00)
≫おどさん
まるで影絵のように濃淡があって、風情があります。悪くないです。
≫Jetstream777さん
格好良く書いてますけど、実際は出発が遅れ、途中で空腹に耐えきれず…といったところかもしれません。
by asa (2014-03-21 14:12)