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中国山地幻視行~長門の秀峰は雲の下・十種ケ峰 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~長門の秀峰は雲の下・十種ケ峰


 山口・島根県境に位置する十峰ケ峰(989㍍)はかつては「徳佐ケ峰」と称した。麓には徳佐盆地が広がる。この地域はもともと「徳佐」であったらしく、天保の改革に際して長州藩がまとめた「防長風土注進案」にも「徳佐ケ峰」とある。これがいつの時点にか現在の名称に転じた。

 非対称の円錐形をした独立峰で、それゆえに見る方角で山の印象が違う。ある方向からはなだらかで開放的な山容であり、ある方角からは急峻な印象を持って迫る。頂上付近は、この地方では珍しいチマキザサの群生で覆われている。

 十峰ケ峰を4月21日、訪れた。広島市内は比較的穏やかな晴天だったが、中国自動車道を走り、山口県境に差しかかる頃、空は不穏な雲行きになった。日本海から寒気団が流れ込んでいるらしく、局地的に晴れたり、厚い雨雲に覆われたりして安定感がない。道路わきの標識が表示する気温も、10度を切っている。それでも、2時間余りかけて徳佐に着くころには、なんとか雨はやんでいた。

 この山には、山口では珍しいスキー場がある。そのスキー場横を車で駆け登り、駐車場に着くと既に標高は800㍍。車を置いてなだらかな登山道を歩き出したが、頂上まで30分で着いてしまった。なぜか罪悪感のようなものに襲われて、反対側の斜面にあるヤマシャクの群生地を見に行った。桜の開花が早かったこの春、ひょっとして咲いているのでは…と思ったのだ。しかし固いつぼみのままだった。やはり来月まで待たなければならないようだ。そのかわり、というのも変だが、登山道のわきにはイカリソウがひっそり咲いていた。薄桃色の4個の花弁が広がった様が、船のイカリに似ていることからこの名前が付いたという。

 頂上から笹に覆われた稜線越しに北方を眺めると、厚い雲の下に日本海が見えた。
 

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太陽と雲が斑模様を描く

 
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チマキザサが覆う稜線越し、厚い雲の下に日本海が望める

 
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山頂から

 
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イカリソウ。逆さにすると船のイカリのかたちになる


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コメント 2

おど

この笹の斜面がスキー場なのでしょうかね。 景色がよくて気持ちのよい登山ができますが、夏は暑そうですねぇ。
by おど (2013-04-23 22:33) 

asa

≫おどさん
スキー場は頂上よりかなり下にあります。
山頂は360度の展望ですが、たしかに夏は暑いかもしれませんね。

by asa (2013-04-24 06:50) 

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