中国山地幻視行~猩々袴は咲いていた・比婆山 [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~猩々袴は咲いていた・比婆山
山間の湿地帯にひっそりと咲くショウジョウバカマは、図鑑によると「猩々袴」と書く。「袴」は分からないでもないが、「猩々」とは一体何?
Wikipediaで調べてみる。「中国の伝説上の動物」とある。赤い顔をして人間のような容姿を持ち、酒を好むとされる。オランウータンのことだとする説もある。赤い生き物にショウジョウという言葉を付することが多いらしく、ショウジョウバエなどもその一例である。詳しくはないが能にも「猩々」というのがあるらしい。しかし、ショウジョウバカマの花弁は薄桃色で、「赤い」という連想は浮かばないな…。
ショウジョウバカマがもう咲いているだろう、と思い、4月23日に以前見つけた山へ行ってみた。比婆山の山頂近くである。
行ってみて驚いた。六の原から出雲峠を越えるころ、登山道には残雪。烏帽子山を越えるころには、本格的な「雪山」になってしまった。向かいの比婆山を眺めると、ブナ林の間はほぼ雪面である。振りかえれば遥かに大山が見えるが、その頂も白く雪をかぶっている。
雪はまだ新しく、踏み跡もほとんどない。この冬の名残ではなく、おそらくは2日前の寒気団がもたらしたものだろう。しかし、こんな状態で猩々袴は咲いているのか…。心細い思いで雪を踏んだ。
あった。
それはまぎれもなく、以前見つけた場所にあった。そして、そこよりほかにはなかった。この日、池の段から立烏帽子を回って六の原へと帰ったが、猩々袴はその1カ所しか生息していなかった(と思われる。確認した限りでは)。
雪は、比婆山への登りが一番深かった。といっても足首が埋まるほどではなかった。比婆御陵を過ぎたころ、女性の二人連れと出会った。
「この先、雪はどんなでしょう」と不安げな顔で聞かれた。見ると、1人は普通のトレッキングシューズだが、1人はスニーカーらしき靴だった。「うーん…。この先の下りは少し深くなりますが、まあこんなもんでしょう」「足が埋まるぐらい?」「いや、それはないでしょう」
安心したような表情で、二人連れは行った。
六の原に下りると、まだヤマザクラが咲いていた。名残の桜である。
ショウジョウバカマ |
ショウジョウバカマ |
ミヤマカタバミ |
名残の桜 |
見える山頂は立烏帽子 |
はるかに雪をかぶった大山が…見えるかな |
目的の花も見られて、ほどほどの残雪も楽しまれた山行になりましたね。(^_^)
by Jetstream777 (2013-04-24 18:39)
≫Jetstream777さん
4月の下旬にこの地方で雪を見るとは思いませんでした。
by asa (2013-04-25 10:43)