中国山地幻視行~幽玄の森・比婆山 [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~幽玄の森・比婆山
梅雨入り。当分晴天は望めない。と思ったら、予報が「晴れ時々曇り」と出た。どこかへ行っておかねば、と変な強迫観念で6月13日、広島県北に車を走らせた。なんとなく向かった先は、比婆山(1264㍍)だった。
午前9時すぎには、麓の六の原に車をつける。「晴れ」とはいかないが、薄曇り。昨夜は雨だったらしい。山道はややぬかるんでいる。しかし、新緑が気持ちいい。気温はやや低く、肌寒いくらい。45分ほど歩いて、水場で休憩を入れる。水量はいつになく豊富である。新緑は深いが、花は烏帽子山(1225㍍)の山頂手前まで来てやっと出会えた。タニウツギ、レンゲツツジ、アカモノが三段重ねのように咲く中を過ぎて、烏帽子山頂の広場。眺望は、と見渡すと何も見えない。向かいの山腹は、既に白いガスで覆われている。
烏帽子の山頂には条溝石という、不可思議なものがある。どうみても人工的な溝が刻まれた石。その溝は比婆山の頂上、伊邪那美命(いざなみのみこと)の御陵を指しているという説もある。比婆御陵については2010年4月19日のこのブログで書いたので読み返してもらえばありがたい。
ここからはガスに包まれた山行となった。烏帽子から比婆山まで30分もかからない。山頂は見晴らしがきかず、森におおわれた広い道が走る。おそらく古代に御陵を作った名残であろう。霧に包まれて幽玄の中を歩く。足元にはギンリョウソウの群落。薄ぼんやりとしたたたずまいは別名ユウレイタケ。ますます幽玄の世界になる。下りにさしかかる頃、イワカガミを見つけた。といってももう終わりに近く、よれよれの状態である。
六の原から2時間半ほどで、本日の最終目的地である池の段(1279㍍)。ガスが山腹を走り、その後を雨交じりの風が追っている。早々に昼飯を食い、下山にかかった。途中立ち寄った展望台も、ただ山のシルエットが見えるだけだった。
帰途、山間を抜けるころ、空は青くはれ上がった。なんのことはない、わざわざ雨の降る所へ登っただけだった。でもまあ、いいか。
アカモノ。この山には多いようだ |
タニウツギ。別名卯の花 |
レンゲツツジも、この山には多い |
条溝石。どうみても人工的な文様 |
イワカガミがまだ生き残っていた |
ギンリョウソウの群落 |
はるかにかすむ山なみ |
梅雨の合間にはひと登りしておきたい、晴れたところはないか? その気持ちよくわかります。(笑)
色んな花に出会えたのは収穫でしたね。 この時期のみずみずしい花もいいと思います。!(^^)!
by Jetstream777 (2012-06-15 21:38)
本当にこの時期、天気図とにらめっこです。確か去年は台風がきて、穂高をあきらめました。梅雨だけでなく気の早い台風も来ますから…
by Umi-Bozu (2012-06-15 21:59)
天気図と雨雲レーダーも併せてチェックするといいかもです^^
by よしころん (2012-06-16 07:27)
梅雨の時期は、天気を読むのもひと苦労しますね。 この時期、雨でも登れる(急斜面やザレ場のない)山で花が咲いているようなコースが良いですよ。
by おど (2012-06-16 14:10)
こちらも今日は雨です。
お天気を見ながら近くの丹沢へでも出かけようと思っています。
体がなまらないように。
by 山子路爺 (2012-06-16 23:33)
≫Jetstream777さん
その後、ずっと雨続きです。本当に「登っておいてよかった」
≫Umi-Bozuさん
遠征する場合は「天気図とにらめっこ」ですが、中国山地あたりだとついつい「雨でもいいか」とずぼらになってしまいます。
≫よしころんさん
雨雲レーダーはよく見て出かけたほうがいいでしょうね。
≫山子路爺さん
また、例の尾根でしょうか。ご苦労さんです。
by asa (2012-06-17 06:21)
山を愛する方々の写真を拝見し、子供の頃育った山国を思い出しています。
by 月夜のうずのしゅげ (2012-06-17 13:55)
こんばんは。お久しぶりです。
山に行かれたんですね。先日旅先で初めてピンク色の木の花を見ました。それがタニウツギだと分かったのはブログでした。だから今回は
直ぐにタニウツギだと分かりました。(^。^)
by yakko (2012-06-17 22:11)
≫月夜のうずのしゅげさん
少しでもそんな風に思っていただければ…
≫yakkoさん
タニウツギは色が濃くて、遠目でもすぐわかりますね。
by asa (2012-06-18 17:19)