中国山地幻視行~見慣れた風景・白木山 [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~見慣れた風景・白木山
登山口は標高でいえば100㍍ちょっと。ここからひたすら登る。しかし、30分足らずで尾根筋へ出る。ぱっと視界が開ける。JR単線を2両つなぎの電車が走る音がする。ゴトン、ゴトン…。尾根のてっぺんということは、ここが風の通り道でもある。いい風が吹いてくる。だからついつい立ち止まってしまう。風景は見飽きたが、風は飽きることがない。
さて、と。ここからは尾根筋に沿って登る。再び林の中だ。5合目までの辛抱。
5合目のすぐ先、山と山の間の、つり橋のような細い尾根を渡ると石がごろごろする急坂が待っている。下を向いて、じっとアルバイトをするとひっそりとした水場がある。といっても水がわいている沢は、ここから何百㍍も上にある。太いホースでここまで引いてある。かすかな水音が、手招きするように誘惑する。生来誘惑には弱いので、またまた立ち止まり、一杯。水を飲めば、その分汗が噴き出す。
頂上直下の登りは、日陰がない。なにせ、ここが一番つらい。10分か、15分のことだが。頂上(890㍍)は広い。ジュラルミンの味気ない社が待っている。
ということで、標高差800㍍弱の登山が終わる。この山ではいつも先客がいる。豪のものは、一日に何回も登る。それもほぼ毎日。一日5回という人もいるらしい。こちらはいつも、1回で堪能する。
背中越しに、先客の話し声が聞こえて来た。「こんな山、訓練でなかったら登らねえよ」。でも、誤解しないでください。みんなこの山が好きなのでそんなふうに言っているだけなんです。この山は、長年連れ添った古女房みたいな山。くだんの男性はきっと、奥さんにもそんな口調なんでしょうねえ。
尾根筋に出ると、いい風が吹いてくる |
5合目にて |
頂上にて(注:記事と写真は関係ありません) |
頂上では社が待っている |
写真で見るとたいしたことないんだけどな |
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