旅におぼれて~スペイン断章・番外編 はるかなる山なみ [旅におぼれて]
旅におぼれて~スペイン断章・番外編
はるかなる山なみ
むかし好きだった映画に「戦争は終わった」(1966年フランス、アラン・レネ監督)があった。スペイン市民戦争を戦った中年活動家を演じるイヴ・モンタンがフランスからスペインへと非合法での潜入を図る。スペインはすでにフランコ政権下。疲れた表情のイヴ・モンタンが検問で引っ掛かるシーンがあり、背後にはたしかピレネー山脈があった。スペインの山といえばピレネー山脈である。ナポレオンが大軍を進めたのも、この山脈を越えてであった。
しかし今回の旅では、ピレネーはかすりもしなかった。ひょっとするとバルセロナあたりからは見えたかもしれないが、到着日はすでに深夜で翌日は雨天だった。
よく見えたのはシェラネバダ山脈である。アンダルシア地方、グラナダはこの山脈の懐に位置すると言っていい。スペイン最南部で最高峰はムラセン山(3478㍍)。この山名でネット検索するといくつか登山記録が出てくる。日本ではほとんどデータ収集できないこと、登山そのものはそれほど技術を要しないこと、などが分かる。ただ、比高は西ヨーロッパで3番目に高いというから登山口の標高が低いのだろう。山小屋で一泊というのが普通の日程らしい。
アルハンブラ宮殿の中庭からも山脈は遠望できた。よく見えたピークの山名を聞いたところ、ガイドは「ベデタ山」と答えていた。帰ってネットで調べればいいか、とそれ以上聞かなかったが、この山名でヒットするデータはなかった。
シェラネバダといえば米国西海岸に南北に走る大山脈があるが、これも「スペインのシェラネバダみたい」ということで名付けられたらしい。スペイン語で「雪をいただく白い山」。シェラネバダの本家はスペインであった。ウィキペディアで調べると同名の山脈はメキシコ、ベネズェラ、コロンビアにもある。おそらくそのどれも、スペインに由来すると思われる。
スペインの国土はほとんどが荒地で、低山も日本とはかなり趣を異にする。雑木林がほとんどないので、ちょっと登れば360度眺望がきき、気分がいいだろうな、というのが各地にある。しかし、スペインの人はあまり山に登らないのか、ほとんどルートらしきものが見当たらなかった。それよりも、頂上近くまでオリーブを植えているのが目に付く。オリーブばかり植えてどうするんだ、というぐらいオリーブ畑である。
スペインのみなさん、オリーブもいいけど、ハイキングコースを開拓しませんか。
≪「スペイン断章」おわり≫
アルハンブラの中庭から見たシェラネバダ山脈。ピークに立てば地中海が見えるはずだ |
地中海に面した町、ミハスの村と小高い丘 |
高くはないが、眺望はよさそう |
軽いトレッキングに向いていそうな山 |
ほぼ頂上までオリーブ畑 |
白き峰の連なり……
どうしてもそこに目が行ってしまいます。
by 山子路爺 (2012-04-06 11:42)
やはり、山に目が行ってしまいますね。(笑) でも、素敵な光景です。(^_^;)
by Jetstream777 (2012-04-09 17:36)
≫山子路爺さん
シェラネバダはきれいな山並みでしたね。しかし、なぜかスペインの人は山登りの習慣がないように思いました。フランス、ドイツ、イタリアは盛んですが。ムラセン山頂上から地中海を眺めたら爽快だろうと思います。
≫Jetstream777さん
もっと撮ってくればよかったですね。
by asa (2012-04-10 08:28)