九州幻視行~由布岳・屹立する美しさ [九州幻視行]
九州幻視行~由布岳・屹立する美しさ |
あれはいつのころだったか、思い出すこともできないほどの昔になってしまった。広島から別府港へ定期航路があった時代である。仕事を終え深夜11時ごろの船に乗り込む。伊予灘から別府港へ入ると、桟橋はそぼ濡れていた。霧のような雨が降り止まない。畳がある港の待合室でひと寝入りした後、始発のバスに乗った。1時間余りで登山口に着く。仰ぎ見る山頂はガスに包まれていた。眺望のないまま山頂へと向かった。
2度目の由布岳は、青い空の下にあった。標高770㍍から800㍍余り、双耳峰は新緑を従えて見事に屹立していた。その美しさを見れば、古くから数々の伝説をまとってきたのも分かる。「豊後富士」などと通俗の極みで呼ぶことはない。ただ由布岳と呼べばいい。
正面の登山口から気持ちのいい草原が広がる。左手に標高1000㍍ほどの小さなピーク。飯盛が城と呼ばれる。間もなく樹林帯に入る。気温25度。日差しが遮られ、心地いい。左へ大きく迂回すると合野越と呼ばれる分岐に出る。そこからしばらく、樹林帯のジグザグが続く。
ふと、視界が開けた。道の周辺の樹が、腰ほどの高さになったのだ。眼下に広がる温泉街。はるか遠くに九重の山並みがかすむ。前回は見ることのなかった景色が、目の前に広がる。仰ぎ見ると双耳がのしかかるように頭上に迫ってくる。手前にはミヤマキリシマが鮮やかなピンクの花を競う。数は少ないが、いまが満開の時期だ。つづら折りの道は直登に変わる。喘ぎながら登りきると東西の峰への分岐に出る。東峰へと向かう。
予想していなかったが、頂上のすぐ下にはイワカガミが咲いていた。巨木の陰でひっそり咲くものと思っていた小さな花が、日差しを浴びて群生している。イワカガミは、九州では陽性の花らしい。そして目をこらさなければ分からぬほど小さな花、バイカイカリソウはさすがに草の陰でひっそりとたたずんでいた。
登山口で振り返った由布岳は、傾きかけた日を浴びてやはり見事に屹立していた。見上げた双耳の手前にミヤマキリシマが点在する |
今が見ごろのミヤマキリシマ |
天空を行くかのような登山道は眺望がすばらしい |
イワカガミが日差しを浴びて群生していた |
火山の面影を濃厚に残す由布岳 |
以前、湯布院に泊まったときには曇っていて見られなかったのと、その頃は登山に目覚めていなかったので登っていません。
今度機会があれば、登ってみたいですね。 しかし、高度感が合って良い山です。
by おど (2010-06-13 23:23)
≫ おど さん
晴れていれば、ここの眺めは最高です。
by asa (2010-06-14 06:37)
湯布院、以前泊ったことがあります。
やはり私もその頃は登山に目覚めていませんでした。
行っておけばよかったなぁ…。
by よしころん (2010-06-15 10:12)
由布岳 何度かその姿をみました。
いつか訪ねてみたいと思っていますが、
遠い・・。
by FSC梓 (2010-06-15 20:18)
≫ よしころんさん
九州の山は独特のものがありますね。由布岳は頂上がせり出しているので、高度感が魅力です。
≫ FSC梓さん
たしかに遠いですね。飛行機で行くしかないかな。
by asa (2010-06-16 07:37)
おはようございます^^
由布岳、わたくしも十何年前?に登りました。息子が大学の頃でした。
良い山ですよね~
由布岳を午前中で降りてきて、そのまま久住へ行きました。
by mimimomo (2010-06-21 09:12)
≫ mimimomo さん
眺めの素晴らしさはさすがですね。
形もいい山です。
by asa (2010-06-21 10:56)