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中国山地幻視行~迷い道・吉和冠 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~迷い道・吉和冠

 

 中腹まで登ると、雪道になった。気温は高い。ぐずぐずの腐った雪だ。背中のザックには、こんなこともあろうかとカンジキをつけている。しかし、しばらく登ると雪は消えた。そんな繰り返しがしばらく続いた。なるべく端っこを、雪のないところを登るか。それでも時々は雪の上を歩かざるを得ないところが出てくる。下が空洞になっていたりすると、膝までもぐりこむ。エネルギーのロスが激しい。踏み跡があればそれをたどるのだが、なぜかほとんど踏み跡はない。

 足もとに全神経を注ぐ。ふと、顔をあげて周囲の風景を眺めると、見覚えがない。どこか、違う尾根に迷い込んだか。もとより、たどるべき道は雪の下だ。しまった、と動転する心を抑えて、ひと休みする。ここから、登るべきか下るべきか。思案のあげく、下りを選んだ。しかし、谷筋は一つか二つ、ずれているはずだ。ときどき、尾根の高みに登っては周囲の景色を確認する。

 しばらくして、踏み跡を発見した。新しい。わが踏み跡に間違いない。これをたどれば、登山口には着くはずだ。そうしているうち、目印の赤いテープを確認。大事に至らずに済んだ。

 帰途、いつも眺めるしだれ桜を見に行った。こちらはどんぴしゃりのタイミング。滝のような桜花にしばらく見とれた。里は、もう春なのだ。

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山子路爺

里は桜、山は雪
良い季節ですねぇ〜。

by 山子路爺 (2015-04-05 15:05) 

asa

≫山子路爺 さん
桜も、このところの悪天候でだいぶ散りましたね。
by asa (2015-04-07 09:19) 

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