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旅におぼれて~スペイン断章Ⅰラ・マンチャの雪 [旅におぼれて]

旅におぼれて~スペイン断章Ⅰ


 

 ラ・マンチャの雪

 バレンシアからバスに乗った。赤い大地が広がる。内陸に入るに従って、大地は白く染まりはじめた。雪である。つまらぬ固定観念のために予想していなかった景色が、現れる。

 古い世界地図を広げて、納得する。マドリッドは北緯40度線の北。日本でこの緯度は、岩手から青森にあたる。

 そういえば前日、3月下旬のバルセロナは春の嵐だった。夜のテレビは季節外れの雪のニュースを流していた。マドリッドは標高600㍍。あれはおそらく、首都の雪景色だったにちがいない。

 マドリッドの手前、ドン・キホーテの銅像がある田舎町のレストランで昼食を食うころ、空は真っ青に晴れ上がった。その青の色が、真っ白な壁とコントラストをなす。スペインでは、青は誠実の色だという。だからこのんで青を使う。聖母マリアの宗教画も、例外なく青の布が使われる。

 ある家の青いドアは風雪にさらされ、色が落ちかかっていた。これを味がある、とみるか。色あせた、と見るか。

    ◇

 光が強ければ影は濃い。スペインとはそんな国だった。帝国の栄光と辺境の貧困が共存する国。イスラムとキリスト教の簒奪の歴史を物語る厚い城壁。ピレネー山脈と地中海に挟まれた大地。印象をつづる。

 
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