中国山地幻視行~阿弥陀山・この痛々しい姿 [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~阿弥陀山・この痛々しい姿 |
12月6日(日)、阿弥陀山(837㍍)。広島市の西北、湯木町にある。市内から車で1時間足らずで着ける。山名の由来を知らないが、お椀を伏せたような、女性的でたおやかな稜線が特徴だった。阿弥陀如来のなで肩のような、と勝手に思っていた。ただ、道は厳しい。直登に次ぐ直登。名前の割になんと無慈悲な、と思わせる山だった。その山に、久しぶりに登った。
荒れている理由の一端は、頂上近くになって明らかになった。登り始めて約40分、標高800㍍余りの山の700㍍あたり。なんとそこには鉢巻状の林道工事が進められていたのだ。以前から不吉な予感がしていた。近くの山から眺めると、山肌が削られた、というよりナイフでざっくりと切りつけられたような山が目に入ってきていた。阿弥陀山? いや、そんなはずはない、と思い続けていた。
削られた山はコンクリートで固められている。何のためにこんなところに…。写真を見れば分かるが、杉林の最上部を横切る形で道路は走っている。林業の効率化のため?
なるほど私たちは単なる山歩き人にすぎない。この山がどうなろうと、生活に困るわけではない。しかし、これでいいのだろうか。私たちより後の世代に、こんな自然を引き継いでもらっていいのだろうか。写真で見る通り、実はこの山はもともと広葉樹林で覆われていた。そこに、人為的に針葉樹を植林したのだ。ここに鉢巻林道を通しては、人間でいえばサイボーグのようなものだ。山は天然のダムであるという。山肌をコンクリートで固めて、治水機能はどうなるのだろう。
結局、工事中の林道を横切り、東峰の展望台から西峰(907㍍)をめぐって帰ってきた。葉が落ちた広葉樹林のたたずまいのように心は冷えていた。
登山口(70分)展望台(50分)西峰(50分)林道工事現場(30分)登山口
★歩行時間には撮影時間が含まれています。
登山道を行くと、突然こんな光景が |
山がコンクリートで固められていく |
ナイフで切ったように。痛々しい |
山道は荒れ果てている |
ここを通らなければいけない |
東峰の展望台から広島湾を望む |
この山塊の最高地点である西峰はまったく眺望がきかない |
2009-12-06 21:37
nice!(6)
コメント(6)
トラックバック(0)
なんだか心が痛くなる光景ですね…。
難しい諸事情もあるのかもしれませんが。。。
by よしころん (2009-12-07 20:25)
よしころんさん、ありがとうございました
こんなになっては、もう元に戻るってことはないんでしょうね。
地元の人にはいろいろあるんでしょうが、さびしいことです。
by asa (2009-12-07 21:00)
とても悲しい光景ですね…。
by Yoshiki (2009-12-08 00:38)
今晩は。
ブログ訪問有り難うございました。
拙いブログですが今後もよろしくお願いします。
このような光景はあちこちの山で見られると思います。
道路を作る前に、登山者の少数意見も聞いてもらいたいものだと思います。
その上でぜひ必要ならば…。そうすれば少なくとも「知らないうちに…」はなくなります。
by P (2009-12-09 00:09)
昔、阿弥陀の下の大森神社でフクロウの撮影をしたことがあります。その後、台風で壊滅的な打撃を受けた神社、そして再建を見てきました。登山道沿いでヒメボタルを撮ったこともありました。あれから大森神社界隈の変化に驚きます。
山に登っていていつも思うのは人間が手を加えても良い限度は何処だろうと思います。広葉樹林が針葉樹林に変わる様をどれだけ見てきたでしょう。そして自然の猛威に耐えられなくなるのです。
それにしてもasaさん元気が良い。芸北界隈の山だけをテリトリーにしているので刺激を受けています。来年は少し遠出をします。
by むささび (2009-12-09 00:25)
ブログには書いてませんが、大森神社もなくなりましたね。
by asa (2009-12-09 06:56)