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中国山地幻視行~比婆山・純林の祝祭 [中国山地幻視行]

     

 中国山地幻視行~比婆山・純林の祝祭

             
 烏帽子山(1225㍍)の頂上から吾妻山(1239㍍)の装いをしばらく眺めた後、比婆山(1264㍍)との鞍部に下りた。既にこのあたりは紅葉、というより黄葉の盛りだった。ブナの太い幹と黄色の葉が絶妙のハーモニーを奏でる。ところどころでモミジも色づき始めている。たまに差し込む日の光が、ブナ林を豪華に演出する。涸沢の秋もいいが、この山の秋も悪くはないのだ。予定通り、天然ブナ林のど真ん中を下る。逆光に浮かぶ大樹が、鮮やかに燃えている。

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 ブナの巨木の燃え立つような秋



 18
日午前9時すぎ、六の原で車を降りた。風がある。雲の流れが速い。時々晴れるが、天候は不安定。太陽の光を浴びてこそ秋の山は美しいのに、と不安がよぎる。だが杞憂だった。太陽と雲の競演が紅葉を引き立てた。
 毎年同じ轍を踏むので、今年はちょっと変えてみた。
 同じ轍とは―。
 秋になると紅葉を見に比婆山系へと向かう。11月初旬、公園センターがある六の原から出雲峠経由で烏帽子山に向かう。秋色のすそ野を広げた吾妻山を横目に、比婆御陵から池の段(1280㍍)へ。そして立烏帽子山(1299㍍)を眺める。
 ところがこの頃だと、比婆山頂上付近は葉が落ちて冬枯れの装いを始めている。この山のブナは、いまどき珍しい純林なのだ。この山の、一番いい秋の顔を見たい。
 そこで今年は、計画を変えた。10月中旬に訪れてみる。いつも通りでなく、どちらかといえば静かな牛曳山(1144㍍)、伊良谷山(1149㍍)、毛無山(1144㍍)コースをとる。出雲峠から烏帽子山に向かい、比婆山手前からブナ林を通って六の原に下りる。定番の立烏帽子は、今年はパス。つまり、天然ブナ林の秋を満喫することを最優先させた。そして、大満足の山行だった。

 

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 白樺は、紅葉には早かった



 牛曳山の登山口からしばらく歩くと、この地方には珍しい白樺林がある。ここの紅葉は、さすがに10月中旬では早かった。でも青空に白い林がよく映える。牛曳の頂上では、夫婦連れらしい2人としばらく会話。「この下に滝があるそうですが」「滝? そういえば小さな滝がありましたね」。牛曳滝というらしい。
             
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 牛曳滝が心を和ませる



 伊良谷の山頂には男性1人。追いかけるように男女2人連れ。「本当にこのルートは人が少ないですね」と話しかけられた。「立烏帽子はけさも新聞に出ていましたから、今頃カメラの砲列ですよ」と、単独縦走の男性。「でも少し、早いかもしれませんね」と応じた。それぞれ相前後して毛無山へ出発。


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 右手前が伊良谷山、左奥が毛無山の頂上



 山の標高を見ても分かる通り、適度の起伏を持つ快適なコースだ。紅葉を楽しむには少し早くても、秋の趣はあちこちで味わえる。と、そんなことを思ううち、毛無山の頂上。風が強い。気温は10度ちょっと。ここで昼食とした。正面に比婆山の山腹が見える。雲の流れによって光が差し、紅葉が輝く。さすがにここは、六の原から直接登ってくる人もおり、登山客が多い。

  
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 登山口近くのススキ



 六の原(100分)伊良谷山(35分)毛無山(25分)出雲峠(50分)烏帽子山(90分)六の原
 ★歩行時間には、写真の撮影時間が含まれています。 


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よしころん

広島の毛無山もいい感じですね~♪
毛無仲間 ^^v
by よしころん (2009-11-26 19:27) 

asa

ありがとうございます。


by asa (2009-11-26 19:59) 

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