中国山地幻視行~・思わぬ雪・恐羅漢山 [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~・思わぬ雪・恐羅漢山
もうすぐ樹林帯を抜けるはずだ。そう思って足元を見ると、カンジキがあらぬ方向を向いている。ベルトが外れたか。雪面に座り込んでカンジキを外す。「!」。ベルトは、外れたのではなく切れていた。
3月30日、広島・島根県境に位置する恐羅漢山(1346㍍)。スキー場はとっくに営業をやめている。しかし、例年になく雪は多かった。ゲレンデの下部でカンジキをつけ、登り始めた。ゲレンデ最上部へ近づいたころ、人の声がした。3人のスキーヤーが顔を出した。リフトは止まっているが雪はたっぷりある。
ゲレンデから樹林帯へ入るあたりにロープが張ってあり、「滑走禁止」の看板が下げてあった。登りの足跡はここでUターンしていた。3人はここからスキーを履き、降りたのだろう。ロープから上は、足跡のない雪面だった。踏み入れると、ひざ上まで埋まった。もう3月末である。いつ降った雪であろうか。そういえばここ数日、平野部では雨の日が続いた。そのころ降った雪であろうか。
ルートを探るのに難儀した。そして深く柔らかい雪である。登りの時間はいつもの倍近くかかったように思う。それでも、見当では9合目近くまで登ったころ、冒頭のカンジキの異変である。どうしようか…。この雪の深さ。片足だけのカンジキで登り切る自信はない。しかし、あと少し。周りの樹林帯には見覚えがある。夏なら頂上まで30分もかからない位置にいると推測された。しかし、今は雪山である。ここまで、2時間以上かかってしまっている。頂上まで、あと1時間はかかるだろう…。しばらく葛藤した末、引き返すことにした。
下山は自らの踏み跡を忠実にたどった。それでも片足のカンジキでは困難で、ゲレンデまでたどりつくと人心地ついた気がした。
※この山の近辺に住む知人のブログによると、3月27日夜、30~40㌢の雪が降ったという。どうやらこの雪らしい。
リフトが止まったスキー場に3人のスキーヤーが現れた
ゲレンデ最上部
もうすぐ樹林帯を抜けるはずだ
ワカンが片足とは苦労されましたね。戻られた時はほっとされたでしょう。 それにしても大雪、まだ山の春は先ですね。
by Jetstream (2017-04-01 09:03)
≫Jetstream さん
行こうか戻ろうか、本当は随分悩みました
ふみ跡がないだけに、ルートを誤った時の苦労が頭をよぎり、結局撤退となりました
リベンジができれば、と思います
by asa (2017-04-01 11:32)
無理せず撤退……素晴らしい。
オフピステのスキー、出来ればしたいけど、技術が伴わない私の場合確実遭難騒ぎ。車に積みっぱなしのスキー道具を片付けなくっちゃ、そしていよいよ山シーズンです。
by 山子路爺 (2017-04-03 15:32)
≫山子路爺 さん
「無理せず撤退」といえば聞こえはいいのですが、予想外の雪に疲れ果て…というのも半分真実です。段々、昔のようにはいかなくなってきました
by asa (2017-04-03 15:48)