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中国山地幻視行~早春賦・吉和冠 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~早春賦・吉和冠


 4月16日、吉和冠を訪れた。予想外のことが二つあった。

 一つは、登山口にあたる鉄橋の先に、林道が整備され始めていたこと。沢伝いに登る登山道の対岸に、車も通れそうな道が延びていたのである。そして、鉄橋を渡ったあたりには、見なれない標識が一つ。かなり古びていたのでどこかに立ててあったもののようだが、初見である。丁寧な地図と所要時間があった。島根側からのものを含め、3本のコースが紹介してあった。ちなみに、いつも登るコース(潮谷コース)は所要時間3時間とあり、少し多めに見積もってあった。

 沢伝いから左に折れ、急登にかかる頃、チェーンソーを使って枯れ枝を払う二人連れに出会った。林道のことを聞いてみた。沢の奥に匹見町(島根県)からの道ができており、そこにドッキングするのだという。「(登山口から頂上まで)30分は短縮できるよ」という。確かにそうだろう。しかし、この登山道は沢伝いに登るのがいい。渓流の音が心地よいし、何より夏場には風が涼しい。運が良ければ岩影を走る魚影も楽しめる。その沢伝いに車道ができれば、魅力は半減だ。

 もう一つは、頂上直下の雪。4月も半ばを過ぎ、さすがに残雪はないだろうと、アイゼンなど持ち合わせていなかった。とうの昔に油をひいてしまいこんでいる。幸いだったのは、ズブズブの雪ではなく、ある程度固かったことである。つま先をけり込みながら、なんとか登ることができた。

 予報とは違って気温は低く、風もあったのだが、山頂からの眺めはかなり深いガスの中だった。切れ落ちた崖の下には、くだんの匹見―吉和林道が見える。足元にはイワカガミが葉を広げている。ピンクの花が咲くのももうすぐだろう。ほかに訪問客もなく、早々に山頂を後にした。

 帰途の道路端では、黄色い水仙が盛りであった。

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登山口には、新しい道が延びていた。登山道はこの手前を右に折れ、鉄橋を渡る 

 
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登山道の対岸に延びる新道。右の古い木橋は、1996年の広島国体の登山競技で使われたコースの名残
 
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登山道の入り口に見慣れない標識

 
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山頂の直下は思いがけぬ雪だった

 
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水仙が咲き乱れていた


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コメント 2

山子路爺

広島県と島根県を結ぶ林道の価値はいかほどのものなんでしょうかね。
ダート走り(私もそうですが)には嬉しいですが、そのうち危険だから通行止め、ゲートの前で歯ぎしりなんてね。それに歩きの楽しさをスポイルしてしまいそう。それなら作らない方が……。愚痴ってスイマセン。

by 山子路爺 (2014-04-23 09:39) 

asa

≫山子路爺さん
幽玄な沢筋を…と思っていたのが、ある日から車と同居とは…
便利になるのは必ずしもいいことではないような。
でも、山の手入れをする人たちには必要なのかも…
難しいところです。
by asa (2014-04-26 07:48) 

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