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中国山地幻視行~残雪の彼方Ⅲ・大山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~残雪の彼方Ⅲ・大山


 5月5日、大山。3合目手前あたりから、断続的に雪が深くなってきた。急登である。ちょっとよけて、6本歯のアイゼンを付けた。あれでも、と思って持ってきたのが正解だった。見上げた空は青い。ブナ林はところどころ枝折れしている。この冬の雪の深さとすごさを物語る。アイゼンを付け、力任せに直登するうち、3合目も4合目も標識に気づかぬまますぎてしまった。道を外れていたのかもしれない。もう5合目である。少し登れば、6合目の小屋がよく見える。

 6合目避難小屋も雪に埋もれていた。ベンチは完全に隠れたままだ。柵の上に腰をかけ、しばらく北壁を眺めた。残雪の向こうに青い空と刷毛でさっとなでたような薄い雲が浮かぶ。日差しが厳しくなった。温度計は既に20度を超している。

 ここからの登りは本格的な雪道。5月になってこの雪は、初めてのことである。今年の豪雪がよく分かる。しかし、8合目までたどり着くと、雪は消えていた。稜線伝いの道のため、日陰がないからである。アイゼンを外しにかかる。後ろから来た男性が「海岸線がよく見える」とつぶやき、カメラを構える。弓ヶ浜である。「弓ヶ浜ですよ」「弓が浜というんですか」「弓のような格好をしているでしょう」「ああ、境港のあたりですか」。京都から来たという。しかし、残念なことに少し霞んでいる。ここ数日の黄砂のせいであろう。さて、と腰を挙げて8合目上の石段を越えると、長い木道に入る。風が強くなった。

 山頂小屋付近にはまだ雪があった。今年の厳冬期は、2階建てのこの小屋が完全に埋まって入れなかったという。日本海はおぼろげだが、空は青い。いい天気だ。

 
SDIM1884のコピー.jpg

 6合目小屋を後にする

 
SDIM1885のコピー.jpg

避難小屋のすぐ上あたり

 
SDIM1887のコピー.jpg

7合目を過ぎた

 
SDIM1897のコピー.jpg

頂上付近の縦走路。「危険だから縦走不可」とある

 
SDIM1900のコピー.jpg

頂上小屋の向こう、かすむ日本海


 
SDIM1903.jpg

8合目上あたりから頂上を振り返る



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コメント 12

おど

雪がまだ残っていますね。 もう一ヶ月もすると消えるのでしょうが、本当に今年は多いです。 下りは、滑りながら降りたのでしょうか?(笑)
by おど (2011-05-07 19:12) 

asa

≫おどさん
連休時にこのような雪は初めてでした。
くだりは、予定外でしたが滑っておりました。
by asa (2011-05-07 19:17) 

よしころん

弓ヶ浜、行ったことがあります^^ 境港からも大山よく見えました。
お天気に恵まれた山行日和でしたね♪
by よしころん (2011-05-07 20:05) 

asa

≫よしころんさん
弓ヶ浜から見る大山は形がいいですよね。
本当に今回はいい天気でした。
by asa (2011-05-08 06:13) 

Umi-Bozu

さすが積雪量の記録を打ち立てただけのことはありますね。以前に広島に住んでいましたが、「山に雪が積もる」という印象がなく、少々驚きでした。
by Umi-Bozu (2011-05-08 09:32) 

asa

≫Umi-Bozuさん
やっぱり今年の大山は記録的な雪だったと思います。
広島にすまれていたことがあるんですね。
by asa (2011-05-08 22:02) 

Jetstream777

大山、行ってみたい。 まだ雪が多く、縦走は危険なんでしょう。
思いつきました、出雲大社+大山、いいアイデアです。(^_^;)
by Jetstream777 (2011-05-11 16:32) 

asa

≫Jetstream777さん
急がないと、このところの気温上昇で雪がなくなりますよ。
by asa (2011-05-11 19:45) 

水郷楽人

大山には、まだこんなに沢山の雪が残っているのですね。
by 水郷楽人 (2011-05-12 14:40) 

山子路爺

フフフ、やっぱ、ダイセンですねぇ~。
by 山子路爺 (2011-05-12 17:50) 

ken_trekking

大山。あこがれます、あの北壁。写真でしか見た
ことはありませんが、格好良い山ですね。それにしても
その頃の黄砂はひどかったですね。車を洗っても無意味。
いい加減にして欲しいです。
by ken_trekking (2011-05-12 21:36) 

asa

≫水郷楽人さん
今年の大山は積雪2㍍どころではなかったと思われます。頂上小屋(写真では1階部分が雪に埋まっています)がすっぽり埋まったということは、頂上は5、6㍍はあったと思います。

≫山子路爺さん
そうなんですが、そう言える山が中国地方ではほかにないのが残念です。

≫ken_trekkingさん
雪の北壁を登っている人をときどき見かけますが、われわれではとても…。
by asa (2011-05-13 08:35) 

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