中国山地幻視行～深入山・晴れた日には永遠が見える：風と歩く：SSブログ

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中国山地幻視行～深入山・晴れた日には永遠が見える

　この季節、やむを得ないところもあるが、天候に恵まれずにいた。ところが一気に列島は晴れマーク。さてどこへ向かうか。「広島のモンブラン」とひそかに呼ぶ深入山（1,153㍍）に１月18日、足を伸ばした。
　広島市内から中国自動車道に乗り、広島県芸北の戸河内インターで降りる。さすがにここまで来ると山々には雪がある。さらに国道191号を北上、深入山へ。もともと草原のつるっとした山だが、いい感じで白銀をまとっている。
　スノーシューをはき、雪原に足を踏み出す。固く締まって歩きやすい。見上げた空はどこまでも青い。いいぞ。少し風があるが、気にならない。日差しが強い。こんな日はサングラスが必需品だ。今はもう廃業したスキー場のゲレンデを登る。踏み跡がいくつも曲線を描いている。
　中腹まで行くと、やや雲が出てきた。といっても、青い空に白い塗料をさっと刷毛でなでたような薄い雲。秋の空のさわやかさを思わせる。そのうち、スキーヤーが追い越していった。板に滑り止めのシールを貼り、かかとが浮くビンディング。登りやすそうだ。こんな日にだれもいない斜面を自由に滑れば、それは気持ちいいだろう。
　登り始めて約１時間半で頂上。ここまで来るとさすがに風が冷たい。さえぎるものが何もないためだ。その分、眺望は最高だ。特にこんな日は。隣接する臥龍山（あのいまわしい事件の現場）も、掛頭山も、高岳も、恐羅漢山も、手に取るようによく見える。聖湖の湖面は、まだ凍ってはいないようだ。はるかにどこまでも見える。頂上直下の小屋で昼食。そのうち、天候が崩れてきた。
　下りは気ままに雪原を歩いた。1時間足らずで登山口に着いてしまった。