中国山地幻視行~恐羅漢山・深い緑と夏空と [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~恐羅漢山・深い緑と夏空と
7月になって1回も山に行っていないことに気が付いた。もう月も終わりだ。計画してこなかったわけではないが、天候不順で流れたのが数回。今夏、酷暑と思えば雨が数日続いた。そんなわけで(どんなわけ?)、大急ぎで山行計画を組んだ。
谷筋は避けた。理由は前回書いた。開放的な尾根筋で風の通りがよいこと。しかし、中国山地にそんな好条件の山がそうそうあるわけではない。熟慮の末(どこかで聞いたフレーズ、自民党議員のよく使うやつ?)、恐羅漢山(1346㍍)に決めた。
7月29日朝、当地は午前中晴れ、午後下り坂で夕刻から雨と予報。まあいいか、と車を走らせた。牛小屋高原の駐車場に車を置く。思ったより風は涼しい。気温計は25度あたり。標高は900㍍を超していた。山頂まで高度差400㍍余。
スキー場のゲレンデ横を直登する。首筋を焼く日差しはさすがにきつい。しかし、木陰に入ると一変する。文字通り高原の風が吹いている。ゲレンデを過ぎ、林間の道に入る。とりあえず、山の選定は「あたり」だった。
山頂には誰もいなかった。駐車場や途中の山道で何人かと出会ったが、どこに行ったのか。不思議な思いにかられた。北東に臥龍山と深入山がよく見えた。西中国山地らしい姿。いかめしくなく優美だ。広がる夏空に雲が沸き上がっていた。
下りは夏焼峠を経由した。山頂と峠と高原と、三角形を描くコース。広がる深い緑に山の力を感じた。山では終始、気温は25度前後だったが、自宅近くの市街地に戻ると、車の外気温計は35度を示していた。ふう。
中国山地幻視行~深入山・夏色の [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~深入山・夏色の
梅雨が明けた。夏本番である。さて、どこに登るか。歳と共に発想は一元化し、この時期の定番の「あの山」に決まった。
沢や谷伝いの山道か、それとも開放的な尾根筋か。谷沿いだと木々が日差しを遮ってくれる。渓流があれば、多少とも涼しい。難点は風がないこと。湿度も高い。下手をすると角幡唯介の「空白の五マイル」の世界になる。そんなわけで、開けた尾根筋を選んだ。
7月1日、深入山南登山口の駐車場へ車を入れた。誰もいない。予報は猛暑を告げていたし、実際に麓に近い安芸太田町加計では(翌日の新聞が伝えたところでは)最高気温37.4度を記録していた。こんな日に熱中症のリスクをおかす酔狂もいないということだろう。
山道では、ウツボグサが出迎えてくれた。地味なたたずまいだが、今の季節、路傍を彩るのはこの花ぐらいだ。
じりじりと首筋を焼く日差し。なかなか過酷だ。夏草茂る尾根を渡る風が心地よい。ザックの気温計を見ると29度。計算通りだ。山頂は1153㍍。物理的な計算では平地より8度ほど下がるはず…。
ササユリが咲いていた。開花時期はとうに過ぎたはず。花弁は風雨に痛めつけられたか、傷だらけだった。
山頂。眺める山並は、夏色というのだろうか、青と緑の混じった深い色をしていた。…などと感慨にふけっていたら、女性のグループがにぎやかに登ってきた。酔狂はほかにもいた。
沢や谷伝いの山道か、それとも開放的な尾根筋か。谷沿いだと木々が日差しを遮ってくれる。渓流があれば、多少とも涼しい。難点は風がないこと。湿度も高い。下手をすると角幡唯介の「空白の五マイル」の世界になる。そんなわけで、開けた尾根筋を選んだ。
7月1日、深入山南登山口の駐車場へ車を入れた。誰もいない。予報は猛暑を告げていたし、実際に麓に近い安芸太田町加計では(翌日の新聞が伝えたところでは)最高気温37.4度を記録していた。こんな日に熱中症のリスクをおかす酔狂もいないということだろう。
山道では、ウツボグサが出迎えてくれた。地味なたたずまいだが、今の季節、路傍を彩るのはこの花ぐらいだ。
じりじりと首筋を焼く日差し。なかなか過酷だ。夏草茂る尾根を渡る風が心地よい。ザックの気温計を見ると29度。計算通りだ。山頂は1153㍍。物理的な計算では平地より8度ほど下がるはず…。
ササユリが咲いていた。開花時期はとうに過ぎたはず。花弁は風雨に痛めつけられたか、傷だらけだった。
山頂。眺める山並は、夏色というのだろうか、青と緑の混じった深い色をしていた。…などと感慨にふけっていたら、女性のグループがにぎやかに登ってきた。酔狂はほかにもいた。