中国山地幻視行~白木山・山頂からの眺めは霧の中 [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~白木山・山頂からの眺めは霧の中
山頂からの眺めに目を疑った。四方とも霧の中だった。そういえば、と気温計を見ると18度を指していた。5合目で確認した時は10度だった。日陰、日向の違いはあるものの、1時間ばかりの登りの間に8度も上がったことになる。気温の急上昇が、平地に霧を流し込んだのは確かだった。
12月25日、白木山(889㍍)。クリスマスの日だが、山頂の標高と登山の標高差があまり変わらないこの山は、相変わらず人気である。麓の路肩には、ずらりと車が並んでいた。やむなく、少し離れた場所に車を止めた。
朝が遅かったので、山頂に着いたのは正午をとっくに過ぎていた。下山の人と随分すれ違った。そんなわけで山頂には2、3人しか残っていなかった。霧の底に沈んだ平地部に思いをはせたのち、下山にかかった。のんびり下りながら、いつものごとく地蔵さんのたたずまいをカメラに収めた。
いつもいい顔をしてるな。ここのお地蔵さんは。
中国山地幻視行~三倉岳・晴天の山はいい [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~三倉岳・晴天の山はいい
朝から雲一つない晴天。こんな日は、山道で汗を流すに限る。12月15日、そんなわけで三倉岳に向かった。かねてからの予定が組んであったのだが、そんなものはすっぽかしての山行であった。
日曜日とあって、そのうえこの晴天だから、駐車場は既に車でいっぱいだった。あちこちから歓声が聞こえる。平日の人気のない山に行き慣れてしまっていたので、なんとも落ち着かない。
この山は三つのピークからなる。三点を縦走する楽しみがこの山の本来の楽しみだが、あいにくと2018年豪雨被害のため、中岳と夕陽岳の間の鎖場ルートが通行禁止になっている。今回もやむなく、夕陽岳への往復ルートをとった。
4合目小屋から眺めた夕陽岳は、絶壁がそそり立ち、壮観であった。その壁のすぐ横、階段状の道をせっせと登った。単調で長い道のりである。夕陽岳では、いくつかのグループと鉢合わせした。さすが、晴天の日曜日である。四方を眺めた。前回登った大峰山、最近足が遠のいている大野権現、頂上のレーダー塔が特徴的な山口県の羅漢山。そして山麓の栗谷の集落。
山はいい。そして何より、晴天のもとの山に勝るものはない。そう思いながら、来た道を引き返した。
中国山地幻視行~落葉の登山道・大峰山 [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~落葉の登山道・大峰山
急登を終え、尾根筋の登山道に入った。悩ませていた北からの横風が収まった。登山道は山腹の南にあり、いわゆる「風裏」に入ったのだ。
12月4日、広島市近郊の大峰山(1040㍍)。広島県北では前日あたりから雪が積もり始めたという。県内最高峰、恐羅漢山もうっすらとだが雪化粧したという。西中国山地の冬景色を眺めたいと思い、この山に向かった。
山頂。遥かに望む山々は白くけぶっていた。雪が舞っているのだろう。大峰山の頂にも、細かい雪が舞い始めた。広島湾に目を向ける。靄がかかっているようだった。海面が太陽の光を反射して光っていた。
何枚かの写真を撮り、そこそこで下山にかかった。八畳岩で昼食をとっていた二人連れに「きょうは何も見えませんねえ」と声をかけた。若い数人のグループが登ってきた。視界が開けるよう、願うばかりだった。
まあ、こんな日もある、と思いながら落葉を踏んだ。足裏に心地よい感触が残った。