中国山地幻視行~恐羅漢山・落葉の道 [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~恐羅漢山・落葉の道
すれ違う人との第一声は「暑いですねえ」だった。
11月23日、恐羅漢山。こんな気候は予想していなかった。知人のブログは、前々日(21日)朝の樹氷をまとう臥龍山をアップしていた。つい、つられて重ね着をしてきた。速乾性のアンダーシャツにウールのシャツ、さらにウィンドブレーカー。ザックにつけた気温計を見ると17~18度ある。たまらずウィンドブレーカーを脱ぎ、ザックに括り付けた。
汗を滴らせて、山頂までたどり着いた。連休のせいか、頂上広場は満席だった。見上げる空は、見事に雲一つなかった。大岩の上から四方を見渡すと、なだらかな西中国山地の向こうに風力発電の列が見えた。あそこまで行けば島根県だ。
スキー場のゲレンデ脇を登り、下りは夏焼峠を経由した。多少は紅葉も楽しめるか、と思ったが、ブナの林は既に冬の荒涼の趣だった。落葉降り積む道が心地よく、振り返れば太陽の斜光が季節の残照のように林間に忍び込んでいた。
厳島の紅葉~四季・彩時記 [四季・彩時記]
厳島の紅葉~四季・彩時記
11月22日、厳島にわたった。紅葉を見るためである。あいにくの曇天だったが、ちょうど見ごろとあって観光客だらけだった。紅葉を見たのか、観光客を見たのか、よくわからずじまいだった。
佛通寺の紅葉~四季・彩時記 [四季・彩時記]
佛通寺の紅葉~四季・彩時記
赤は人の心をざわつかせる。いつの日か、ざわつかせるその「何か」を撮りたいと思う。11月12日、紅葉で知られる広島県東部の佛通寺を尋ねた。この地方では珍しい臨済宗の古刹である。
中国山地幻視行~大万木山・山頂は冬の装い [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~大万木山・山頂は冬の装い
11月5日、広島・島根県境にある大万木山(1218㍍)に向かった。「おおよろぎさん」と読む。由来がありそうなのでネットで調べたが、よく分からなかった。出雲の風土記にも出ており、かつては「多加山」と呼ばれたそうだ。「おおよろぎ」は元々「おおゆらぎ」で、揺れ動く山だったという説がネット上で散見される。権現様をまつったところ「おおゆらぎ」は止まったのだそうだ。もっともらしいが、話が断片的で釈然としない。まあ由来はともかく「おおよろぎさん」である。
通常は広島県北の三次から国道54号線で島根県頓原町を経由、山麓の門坂駐車場に入るが、今回は尾道・松江線を使い広島県高野町でICを下り大万木山の中腹へ回り込むルートをとった。高野から門坂駐車場に回るルートもあるのだが、問い合わせたところ、のり面工事のため途中の林道が通行止めになっており、やむなく前述のルート設定になった。
林道の支道を伝い、分かりにくくはあったが目指す駐車場に車を入れた。5分ほど歩くと、門坂駐車場を出発点とする滝見コース(全長約3㌔)の真ん中あたりに飛び出した。そこから広くゆったりとした遊歩道を山頂まで約1.6㌔歩くばかりであった。
中腹は年代物のブナも多く紅葉(黄葉)は見ごろであった。標高が上がるにつれ、落葉が目立ち始めた。山頂付近は、ほぼ冬の装いだった。この山は船底を逆さにした形、もしくは台形をしており、登るにつれ傾斜は緩やかになる。登山路がほぼ水平になったころ避難小屋が目に入った。堅牢な作りで中にベンチもある。前回来た時はあいにくの雨で、この小屋にお世話になった。
避難小屋から200㍍ほどで山頂広場である。中央はロープが巡らされ立ち入り禁止になっていた。そばの標識を見ると苔・芝再生のためという。さらに200㍍ほど行くとブナの大樹があった。幹から何本も枝分かれし、タコを逆さにしたかたち。そこからすぐのところに展望のよいところがあり、昼食とした。北側には日本海、中海、宍道湖が望めた。北東に高い山があり大山らしいが確証はない。
下りは来た道を引き返した。地蔵尊展望台で一息入れていると「三瓶山」の標識。矢印の方向に目を向けると、特徴的な山容が意外な近さにあった。帰宅後、地図で確認すると、大万木から三瓶まで直線距離で20㌔ほどだった。