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中国山地幻視行~大峰山・ああ、経年劣化 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~大峰山・ああ、経年劣化


 乗り入れた駐車場はまっさらな雪に覆われていた。轍の跡などなかった。「よしよし」と心の中でつぶやいた。止めた車のタイヤを見ると、3分の1ほど埋まっていた。
 西日本を含む列島を強力寒波が襲った1219日。防寒を周到に整え、歩き出した。別荘地の中を行く。足首まで雪に埋まった。杉林に入った。さらに急登になる。アイゼンを履き、再び歩き出した。違和感。なんと、アイゼンを固定するゴムバンドが両脚とも切れていた。バックル式で締める6本爪を常用しているが、考えてみれば相当期間使っている。経年劣化だろう。しかし、代わりがない。かんじきは車の中だ。この山は頂上に近くなるにつれ傾斜が増し、おまけに階段が多い。かんじきで苦労した記憶があり、アイゼンが最上と判断したのだ。それがこんな壊れ方をするとは…。
 仕方なく、滑り止めなしで上がる。雪はどんどん深くなる。スリップによるロスが多くなった。時計を見ると、通常の倍はかかっていた。山頂までたどり着けるか。にわかに不安になった。疲労も増してきた。ここは思案のしどころ。

 引き返すことにした。アイゼンのゴムバンドのせいではない。以前ならこんな状況でも、突破する余力があった。それが今はない。肉体の経年劣化こそ最大の問題、と思い知らされた日だった。


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どんどん急登になり、階段が増える

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振り返れば苦闘の跡

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皮肉にも、下山のころ木漏れ日が

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ふもと道に下りてきた


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Jetstream

ゴムやプラは経年劣化しますね。たまにシリコンスプレーをかけておくといいようですが・・我々にもスプレーがあるといいですね。;;
引き返しされたのは正解でしょう。この時期にしてはビックリするほど多い降雪、不安になるのもわかります。いよいよ冬山にかわりますね。
by Jetstream (2022-12-22 23:31) 

asa

>Jetstreamさん
道具の手入れを含めて油断大敵、と思い知りました。それと、無理はきかない年齢だということも。
by asa (2022-12-23 16:27) 

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