中国山地幻視行~三倉岳・風雲急を告げる [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~三倉岳・風雲急を告げる
天気予報は、夜になって雨だという。幸い、午前は晴れ間がのぞくという。3月4日、信じて車を出した。ところが、時折フロントガラスに水滴がつく。雲の足は予想外に早いようだった。
三倉岳の駐車場に車を入れたころ、空はどんよりと重苦しかった。数台の車に分乗したグループが身支度をしていた。持っているギアから推測すると、岩壁にとりつくらしかった。こちらがトイレに行っている間に、出発したようだった。
3月に入って、やや暖かくなったとはいえ、やっぱり冬用のウェアは必要だった。難しい季節ではある。西峰の山頂に着いたころには、寒風が身に染みた。そんな中、昼食の支度をしていると単独行の男性が一人。栗谷の集落が見下ろせる岩壁の突端へと向かっていった。
山頂付近から周囲を見回すと、雲は一段と厚みを増しているようだった。風雲急を告げる、とはこのことだな、と何の脈絡もなく思った。
2021-03-05 11:17
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