中国山地幻視行~比婆連山・祝祭の時 [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~比婆連山・祝祭の時
一国の首相が史上最低レベルの所信表明演説をしようが、世界の覇権国を自認する大国の指導者選びが愚かなののしり合いに終始しようが、コロナ禍で世の中がフリーズしようが、秋が深まれば山々は紅葉する。冬を間近にした、ひそかな祝祭の時である。中国の詩人の言葉どおり「国破れて山河在り」である。
10月31日、満を持して広島県北に出掛けた。気象予報、紅葉のタイミングとも申し分なかったが、心配は土曜日であることだった。自動車道約100㌔を車で駆け、山道を縫ってたどり着いた広場は案の定、車でいっぱいだった。落葉降り積む中、めげずに空きスペースを見つけ車を突っ込んだ。
多くは出雲峠から烏帽子山、池の段のコースをとるらしかった。そうした人々に背を向けしばらく舗装道を下った。牛曳山(1144㍍)から伊良谷山(1149㍍)、毛無山(1144㍍)の縦走路が頭をめぐった。登山口からすぐのところに、この地方では珍しい白樺林がある。白い幹に周囲の広葉樹の紅葉、黄葉がよく映える。このコースは数回歩いたが、これまでにないグッドタイミングで見事な「紅」を楽しめた。
しばらくつづら折りの道を辛抱する。小さな滝を越えると道は緩やかになり、三差路に突き当たる。登山口から2㌔余り。標識に「牛曳山頂上」とあるので、ここが一つ目の山の頂だとわかる。眺望はなく、気が抜けるような頂上である。
左へ曲がり緩いアップダウンを行くと、0.6㌔で伊良谷山頂上に着く。ここも、路傍に大きな岩と標識があるだけで面白味はない。しかし、ここからが縦走のだいご味である。約1.4㌔、すぐ急な下りが始まる。ということはほぼ同じ高度を後で稼がなければならない。下りに入る直前で、毛無の頂上が遠望できる。紅葉に染まり、数人がいることが見てとれる。背後にある特徴的な三角形の山は、広島、島根県境の猿政山であろう。
毛無の頂付近にリンドウの花が数輪。山頂広場から大山のシルエットが鮮明に見えた。振り返ると、牛曳、伊良谷のなだらかな山容が秋の陽を浴びていた。
満を持しての登山、たのしまれたことと思います。!(^^)! 素晴らしい紅葉ですね。下界の劣化する茶番劇とは無縁、逃避したいです。(笑)
by Jetstream (2020-11-03 11:26)
≫ Jetstreamさん
下界のくだらぬ出来事など、どこかへ置き去りにしてしまう見事な「紅」でした。
by asa (2020-11-03 17:30)
山歩き中に清らかな流れ……なんだかホッとします
by 山子路爺 (2020-11-07 12:20)
葉が赤くなると白樺の幹がなおさら映えて綺麗でやすね!
by ぼんぼちぼちぼち (2020-11-07 20:58)
≫山子路爺さん
お久しぶりです。ぼちぼち低山を徘徊しています
≫ぼんぼちぼちさん
白樺と紅葉…本当に深まる秋を満喫できます。なかなかの景色です
by asa (2020-11-08 11:53)