中国山地幻視行~恐羅漢山・秋の日の [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~恐羅漢山・秋の日の
ゲレンデ横の急登を登り切り、立ち止まって一息ついた。背中の汗が急速に冷えていった。風が林間を抜けた。ザックの気温計を見ると、20度あたりを指していた。風が強い分、体感はもっと低いはずだ。見上げた空は高かった。
9月28日、恐羅漢山。
風があり気温が低かったため、山頂からの見晴らしはよかった。しかし、北に目をやっても日本海は見えなかった。南は、というと、はるか遠方に山並が見えたが、それが四国山地かどうか確証は持てなかった。先日の深入山からは確かに見えたのだが…。
つまり、そのくらいの見晴らし、ということだった。秋の日、風景すべてが透明感に包まれて、とまではいかなかった。
大岩の上で写真を撮っていると、三人連れに出くわした。夏焼峠から登ってきたという。クマを目撃したので気を付けなさいよ、という。ゲレンデから直登し、夏焼峠経由で下山する予定だったが、来た道を下ることにした。この山の裏手はクマ銀座として知られる。気温の変化とともに冬支度を始めたのか。向こうも人間が怖いのだろうが、それだけにばったり出会った時の必死の反撃が恐ろしい。
ああ、今日もいい天気だ
2020-09-29 11:30
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