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中国山地幻視行~大峰山・5月の風 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~大峰山・5月の風

 

 「5月のそよ風をゼリーにしてもってきてください」とは病に臥せった立原道造の詩の一節だが、本当に5月の風は甘くて薄青いゼリーのようだ。

 7日の大峰山(1040㍍)。コロナ禍で人々は追放された囚人のように重い日常にとらわれている。こんな時こそ、書を捨てて山野に出よう(昔どこかで聞いたフレーズだ)。

 駐車場に車はなかった。ここにも自粛要請の影が忍び寄っていた。しかし、見上げた空は雲一つなく、気温は23度あたりを指していた。山歩きにはこれ以上ない気候だった。坂道を上って別荘地を抜けるあたり、満開の藤が目に飛び込んできた。

 山頂では2人のソロと出会った。360度の展望だ。広島湾がよく見える。遠望が利くのは空気が澄んでいたせいだろう。長期の連休とコロナ禍のせいで工場の稼働率が下がり、車の排気ガスも減っているのであろう。社会が止まっていることが実感された。

 下山にかかるころ、次々と登ってきた。みんな5月の風をゼリーにして食べに来たのだろう。

 

 

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白い藤が鮮やかだ

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恐羅漢山がくっきりと見える

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吉和冠の特徴ある山容も

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広島湾がこれほど見えるとは

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新緑がまぶしい

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ブナ林も輝いている

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杉の林を光と風が通り抜ける

 


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