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カールへの旅・錦繍を求めて(中)~北ア幻視行 [北アルプス幻視行]

カールへの旅・錦繍を求めて(中)~北ア幻視行

 

 周囲のごそごそする音で目が覚めた。まだ日は出ていなかった。起きだして、カールの底部へと向かった。モルゲンロートを見るためだ。宿をとった涸沢ヒュッテの展望台は人でいっぱいだった。1010日(木)の朝が始まった。

 カールの底には三脚が並んでいた。もちろん、モルゲンロートを撮るためだ。私も一眼のミラーレスを取り出し、構えた。予報通り、この日も快晴の空が広がった。背後の山越しに朝日が差し始めた。奥穂や北穂の岩稜帯が赤く染まった。

 一つだけ、後悔があった。最後まで迷った17-35㍉のズームを、結局自宅に置いてきてしまったことだ。10㌘でも荷物を軽くしたい、との思いからであった。しかし、目の前の光景を見ると、もっと広角が欲しかった。17㍉どころか、12㍉が欲しいと思うほどだった。できることなら、奥穂と北穂のピークを一枚の写真に収めたい。しかし、かなわぬ願いだった。

 朝日があたる穂高連峰を、一つのショーを見るように堪能した後、パノラマコースへ向かった。以前、涸沢から屏風の頭までを往復した際、涸沢の全景が眺められるポイントがあることを記憶していたからだ。

 15分ほどでたどり着くと、先客がいた。カールの全景は見えるが、左下に山の影が残り、気になった。影はなかなか消えなかった。この日は早い昼食をヒュッテでとり、横尾まで下りることにしていた。そのため、あまり長くは待てなかった。やむを得ず、山が影を落とすカールにレンズを向け、シャッターを切った。まあ、これはこれで朝の風景だとわかるというものだ。

 紅葉は思った以上に、見事だった。「10年に一度」と評する声もあった。そうかもしれない。ただ、もう数日早ければもっと鮮やかだっただろう、という思いもどこかにあった。しかしそれは贅沢というものだろう。

 午後はのんびり、横尾まで下った。ナナカマドがきれいだった。振り向けば、穂高の岩稜が見下ろしていた。正面には屏風岩がそびえていた。見飽きることはなかった。奇跡の快晴は終日続いた。

 

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モルゲンロート。左端のピークが奥穂

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言葉を失うほど見事な涸沢の紅葉

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「錦繍」をまとう北穂

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常念の方角。右は屏風の頭

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パノラマコースから涸沢を望む。手前は涸沢ヒュッテ

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パノラマコースから北穂を望む

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パノラマコースから奥穂のピークを望む

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午後はゆるゆると下った。前方は紅葉と屏風の頭

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振り返れば奥穂の岩稜帯

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涸沢ヒュッテと涸沢小屋の分岐も見事な紅葉

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コメント 2

Jetstream

見事な紅葉、楽しまれてよかったですね。!(^^)! パノラマコースの
眺めはWonderful ! 少しでも軽くしたいんで、減らせるものは減らしたい、同感です。最近はミラーレス+14—150㎜ズームだけです。広角はコンデジTG-4ですが広角はほとんどTG-4です。コンデジの遠景ズームアップはダメですが広角ならまだごまかせます。荷物の取捨選択は腐心しますね。

by Jetstream (2019-10-17 23:39) 

asa

≫Jetstream さん
ありがとうございます。日程の選択から、苦労した甲斐があったというものです。
昔は三脚も持って歩いたものですが、最近は三脚も敬遠してます。荷物の軽量化は悩みの種です。
でも結果良ければすべてよし、ですね。
by asa (2019-10-19 14:26) 

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