中国山地幻視行~比婆連山・雨の深山を行く [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~比婆連山・雨の深山を行く
6月12日、駐車場に車を入れるころ、ぽつり、ぽつりと降りだした。予報は午前中曇り、昼から晴れと出ていた。したがって出発予定を変える気はなかった。ほかにも何台かの車があり、グループが身支度を整えていた。
出雲峠に差し掛かるころ、完全に視界はなくなっていた。どうやら、本格的に雨のようだ。他のグループはどこに行ったのか、見当たらなかった。烏帽子山(1225㍍)まで行くと、数人のグループが早めの昼食に入っていた。声をかけてそのまま行きすぎ、比婆山(1264㍍)へと向かった。といっても山は霧の向こうだった。男性一人が速足で駆け抜け、まもなく引き返してきた。比婆御陵までの往復だったようだ。
池の段(1279㍍)までたどりつき、遅い昼飯にありついた。そうしているうち、男性が一人。どこから? と聞くと六ノ原から出雲峠を越えて、という。帰途は立烏帽子(1299㍍)をこえて駐車場まで戻るという。同じコースだ。こんな雨の日、丸1日かかる縦走を試みる酔狂な輩は、そうそういないようだ。
昼飯を食っているひと時、向かいの比婆山と吾妻山をつなぐ大膳原に陽が差し始めた。かすかな期待を持たせたが、やがて元の雨空に変わった。
ひょっとしてまだ咲いているか、と思ったササユリは影も形もなかった。そりゃそうだ。あまりに遅すぎた。その代わり、ベニウツギが満開だった。目を落とすと、ギンリョウソウやアカモノがひっそりたたずみ、深山の趣を醸し出していた。
2019-06-13 16:28
nice!(10)
コメント(0)
コメント 0