中国山地幻視行～山頂に樹氷はなかった・大峰山：風と歩く：SSブログ

	ブログをはじめるログイン

中国山地幻視行～窓が山・皇帝ダリアの咲く..｜中国山地幻視行～年明けの景色はすがすがし.. ブログトップ

中国山地幻視行～山頂に樹氷はなかった・大峰山　[中国山地幻視行] [編集]

中国山地幻視行～山頂に樹氷はなかった・大峰山

　急登を登り切ると、斜度の緩やかな稜線伝いの道に変わる。珍しくここまで休みなしできた。出会ったのは下りの若い男性ひとり。駐車場へ車を入れた時、登山道に足を踏み入れていた、あの男性であろう。

　稜線へ入る手前に大きな岩の展望台がある。見るともなしに遠方へと視線を向けた。海が光っていた。天候は最高だった。しかし、稜線に出たとたん、北からの風が強くなった。

　12月28日、大峰山。おそらく、今年最後の山行になるだろう。予報では今年最強の寒波が列島を襲うといっていた。この山は広島湾に面しているが、山陰・日本海の風が直接吹き付けることで知られる。

　山頂付近、期待した樹氷はなかった。小さな綿のような雪が、木の枝に絡みついているだけだった。それでも山頂の大岩には、大きな雪がこびりついていた。踏み跡のない、まっさらな雪だった。ザックにつけた気温計を見る。零度あたりを指していた。しかし、北からの風が強い。体感温度は優に零度を下回っていた。分厚い手袋の中の指先が凍えた。岩の上に降り積もった雪が、風に舞った。