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中国山地幻視行~窓が山・皇帝ダリアの咲く冬 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~窓が山・皇帝ダリアの咲く冬

 

 車を止め、登山道に入ろうとしたとき、薄紫の花が目に入った。見上げるほどの位置に、その花はあった。皇帝ダリアである。今が盛りと咲き誇っていた。中米あたりが原産と聞く。自然に咲く花ではない。誰かが植えたのであろう。

 127日、窓が山(711.4㍍)に登った。薄暗い森を抜けて切通しの道を行く。落葉がうず高く積もっていた。ふわふわとして気持ちいいが、滑るのが難点である。やがて急登にかかった。7合目あたりであったか、立ち止まって一息入れた。それまで気付かなかったが、白いものが舞い始めていた。雪である。いや、雪ともいえないほどはかない、みぞれ状の小さな氷片だった。

 西峰山頂から見下ろした光景は不思議なものだった。遠方は霞んでいた。厚い雲の下、海面だけにスポットライトのような光が差していた。山頂のすぐ下、「おんな岩」と称するお気に入りの場所で昼飯を食った。岩の下をのぞき込むと、枯れ枝に赤い実がいくつか。いかにも冬寒の景色であった。気温計は5度あたりを指していた。

 いよいよ冬である。

 


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皇帝ダリア。木の高さは数㍍はあろうか

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切通しに積もった落葉を踏みしめ歩く

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山頂直下、道は険悪な様相を見せ始める

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海は鈍く光っていた

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赤い実が寒々しい

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