中国山地幻視行~この暑さは異常・深入山 [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~この暑さは異常・深入山
南登山口からの急登をしばらく我慢すると、稜線を渡る風が吹いてきた。道の先にはなだらかな、この山の頂が見える。その先に雲が浮かぶ青い空。それにしても暑い。ザックにつけた気温計を見ると35度から40度の間、真ん中よりは40度に近い。
昨年は7月14日、今年は7月17日にこの山に登った。今年の暑さは異常だ。昨年も暑かったが、これほどではなかった。多少の余裕があったが、今年はそれがない。こんな日になぜ、と後悔の念がわき立つ。もし熱中症にでもなったら、シャレにならない。
昨年と今年の違い、その2。花の数が違う。昨年はギボウシ、キキョウ、ササユリのほかナデシコやショウブ(アヤメ?)まで咲いていた。今年はギボウシ、キキョウ、ササユリは見かけたが、ナデシコやアヤメにはお目にかかれなかった。見かけた花も、ずいぶん数は少なかった。これも暑さのせいか。
じりじりと陽を浴びながら、なんとか頂上についた。先客が男女2人、後から男女3人連れ。わが身を差し置いていえば、こんな日に酔狂なものだ。みんな弁当を広げ始めた。こちらは頭のてっぺんを焼く陽の強さに耐え切れず、頂上を越したところに立つあずまやに向かった。四方に壁のない小屋は、積雪期に来ると寒風を防ぎきれないので恨みたらたらだが、きょうに限ってはありがたかった。天からの陽を遮り、四方からの風を通してくれる。
あずまやで昼食をすます。思った通りの快適さなのだが、なぜか誰も来ない。外へ出ると、ササユリに出会った。登る途中で2、3輪。そしてここで2輪。昨年よりも圧倒的に少ない。帰りは来た道を下った。帰りがけ、ポカリスエットを買いに寄った休憩所のおばさんが、下山中の姿を見て安堵したという。途中で熱中症にでもならないかと思ったのだろう。思わぬところで心配をかけてしまった。
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