中国山地幻視行~連休の白木山、知人と出会う [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~連休の白木山、知人と出会う
5月5日、白木山。快晴の予報で、しかも連休の真っただ中とあってふもとの道路沿いは既に駐車の列ができていた。その列の途切れたあたりに車を止めた。身支度をしている最中にも、追い越していく人たちがいた。山道は盛況だろう。
いつも書くことだが、この山は登山道入り口から山頂まで、標高差が800㍍ある。その道をゆっくりと登った。追い越していく人たちが跡を絶たない。5合目を過ぎたあたりで気温計を見ると、20度を少し下回っていた。尾根を渡る風が心地よい、というより肌寒いくらいだった。湿度が低く木陰のためという事情もあったかもしれない。
7合目の水場を過ぎ、山頂への最後の登りに掛かるころがこの山の最も苦しいところだ。胸突き八丁という言葉があるが、そんな感じだ。そのころ、後ろからひたひたと追ってくる登山者がいた。足を止め「どうぞ、先に行ってください」というと「○○さんじゃないですか」と声がかかった。振り返ると、職場の後輩だったS君である。一度この山に同行したことがある。職場にいたころは若いと思っていたが、数えてみればもう50代半ばのはずだ。いかにも元気そうな足取りなので、かまわず先に行くよう促した。それでもしばらく一緒に歩いたが、こちらが再度促すと先を行った。
山頂では、最近の職場の様子を聞いてみた。いい方向には行ってないようだ。ただ、「僕らのころは…」といういい方だけはすまいと思いながら聞いた。厳しいとは思うが、頑張ってほしい。
霞がかかり、中国山地は遠望がきかなかった。深入山、臥龍山、掛頭山がやっと判別できた程度だった。広島湾に目を転じると、やはり厳島が霞んでいた。
下りはS君と二人で下った。道の中央にはサツキがくたびれた風情で佇んでいた。登山口に戻るとシャガの花が目についた。とてもきれいだった。
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