SSブログ

中国山地幻視行~晴れた日には日本海が見える・岩樋山/道後山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~晴れた日には日本海が見える・岩樋山/道後山

 

 広島県の東北の県境にあるこの二つの山は、なだらかな草原で結ばれている。その中を歩くと、さながら雲上のプロムナードである。標高でいうと、実は岩樋山(1271㍍)の方が道後山より2㍍高い。しかしなぜか、一般には道後山のほうが知られていて、岩樋山は前衛峰の扱いをされることが多い。山容といい眺望といい、二つの山はどちらも引けを取らない。岩樋山は不当な扱いを受けていると、つくづく思う。

 9月4日、中国自動車道を庄原インターで下り、1時間足らずで岩樋山直下の駐車場に着いた。ここで既に標高1000㍍を超している。登山口へ向かう途中、目の端に薄紫の集団が飛び込んだ。マツムシソウの群生である。数日前、深入山であれほど探して見つからなかった花が、今を盛りと咲き誇っていた。とっくに終わったと思っていた花が、ここではそうではなかった。

 それからの山道は、マツムシソウに覆われていた。もう一つ、競演する花があった。イヨフウロである。小さな花が咲き乱れていた。ところどころ白い斑点のように存在感を示すのは、ホソバノヤマハハコグサであろう。

 直下の急登を登り切ると、岩樋山のなだらかな山頂に立てる。東には道後山が望める。北東へ目を転じると、ひときわ大きな山塊。大山である。さらに北には、はるかなきらめき。日本海であろう。

 ここからはもう、急登はない。なだらかな草原を歩く。左手には常に大山がある。

 道後山山頂で一人のハイカーに出会った。すぐ下に「大池」という湿地帯に囲まれた池があり、サワギキョウが咲いているという。昼食もそこそこにして向かった。山道を外れ湿地帯に足を踏み入れると、確かにサワギキョウの群落があった。キキョウというには少し変わった、細長い花弁。紫の色だけが、キキョウを思わせる。

 二つの山を巻いて、駐車場へと戻った。午前には雲があった空は、さわやかに晴れ上がっていた。

IMG_0105のコピー.jpg

岩樋山の山頂から。大山の山塊が目を引く

IMG_0113のコピー.jpg
北には日本海のきらめき

IMG_4516のコピー.jpg
道後山へと続く雲上の散歩道

IMG_0123のコピー.jpg
道後山の山頂から大山を望む

IMG_0131のコピー.jpg
道後山直下にある「大池」
IMG_4489のコピー.jpg
マツムシソウ
 
IMG_4494のコピー.jpg
イヨフウロ

IMG_4501のコピー.jpg
ホソバノヤマハハコグサ

IMG_4532のコピー.jpg
ウツボグサ

IMG_4541のコピー.jpg
サワギキョウ

IMG_4544のコピー.jpg
ムラサキツメクサ

 

 


nice!(4)  コメント(4) 

nice! 4

コメント 4

山子路爺

ちょっと違うかもしれませんが、隣の山があまりにも立派過ぎて注目されない山ってありますよね。槍ヶ岳の隣の大喰岳など……立派な3000m峰なのに素通りされちゃって、なんだか可愛そうな気がします。

by 山子路爺 (2017-09-07 11:30) 

asa

≫山子路爺 さん
たしかに、大喰岳をめざしなんて誰も言いませんよね
岩樋山の場合、こっちの方が高いのに素通りされるという不合理感がありますね
by asa (2017-09-07 13:49) 

水郷楽人

ススキの穂ですか。一足早く秋らしくなって来ましたね。
by 水郷楽人 (2017-09-12 06:18) 

asa

≫水郷楽人さん

山はもう秋ですね。平地もそろそろ…
by asa (2017-09-12 07:32) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。