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中国山地幻視行~ちぐはぐな一日・白木山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~ちぐはぐな一日・白木山

 

 南ア・鳳凰小屋で関東から来たという女性と話していて、広島で訓練登山の山として知られるのはどこですか、と聞かれた。話しぶりから広島に住んでいたことがあり、若干の土地勘があるようだった。そこで「白木山(889㍍)」を上げた。広島市北方の近郊(安佐北区)にあり、登山口から山頂までの標高差は800㍍。鳥取の大山(大山寺から標高差900㍍)に引けを取らぬ数字であり、近くの高校や大学の登山部、ワンゲル部もトレーニングに使っている。北アや南アを目指す人の中には、一日2、3回登るつわものもいるようだ―。おおむねこんな話をした。

 そんなわけもあって、白木山に登った。

 早朝、車で向かう途中、忘れ物に気が付いた。カメラである。このブログを書き始めて初めてのことだ。引き返すか。しかし、既に登山口近くまで来ている。結局、カメラなしで登った。このブログに限り、掲載した写真はスマホで撮ったものである。

 平地は晴天だったが、近づくと白木の山塊はガスで覆われていた。よからぬ予感がした。そのとおり、登山路を歩き始めると湿度の高さに皮膚が耐えかね、汗が噴き出した。湿度計がなく計測のしようがなかったが、かなりの高さと思われた。しかし日差しは強く、林間の道を、影を求めて歩いた。

 山頂に着いたころ、雲行きが怪しくなった。見上げると黒い雲が走っていた。握り飯をほおばっていると、小さな雨粒が落ちてきた。この程度ならと、そのまま打たれた。ところが雨粒は急に大きくなり、あっという間にわが身とザックをずぶぬれにした。近くの避難小屋に逃げ込むべく、いったん広げた小道具を大急ぎでザックに詰めたとたん雨はやみ、日差しがかっとあたりを照らした。

 カメラの忘れ物に端を発して、ちぐはぐな一日であった。こんな日はせめて無事故であったことを僥倖(藤井聡太四段が使っていた)と思うことにしよう。

 

DSC_0139.JPG
大粒の雨の後、再び夏の日差し。右の構築物は山頂の展望台

 


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