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北アルプス幻視行~針ノ木・蓮華岳(1) [北アルプス幻視行]

北アルプス幻視行~針ノ木・蓮華岳(1)


  縦走路(上)

 梅雨明けである。しかし、太平洋高気圧は心もとなく、日本海へ抜けた台風の尻尾を押しのけてくれない。不安定な空を眺めながらの山行となった。信濃大町から扇沢に入り、柏原新道を登る。種池から後立山の稜線を南に向かい、スバリ岳、針ノ木岳を目指す。

 7月27日、信濃大町に入り、宿をとった。翌早朝、タクシーで柏原新道の入り口に。午前7時には歩き始めた。しかし、台風余波で南から流れ込む風のせいであろうか、蒸し暑い。20分もたてば額から滝のように汗がしたたる。

 単調な登りである。加えてガスで周りは見えない。足取りは重くなる。種池山荘に着いたのは、予定より1時間余りも遅れてのことだった。昼食は山荘のカレーライス。レトルトだが、空腹の身には程よい辛さがしみわたる。

 種池は3年ぶりである。前回はここから鹿島槍を目指した。五龍から鹿島槍を越え、種池を経由して針ノ木へ縦走したのは、数えてみれば15年前のことだった。新越山荘前でレインウエアを着こんだと記憶する。そのときは以来、ずっと雨中だった。周りの山々などまったく見ていない。眼下の黒部湖も知らない。

 昼食を終え、緩い登りを岩小屋岳(2630㍍)へと向かった。種池から新越山荘まではなだらかな縦走路のはずだ。周りの景色は知らずとも、山路の傾斜は足が覚えている。しかし、岩小屋岳がどんな山だったか全く記憶がない。その謎はやがて解けた。縦走路が少し登りになったころ、突然に黄色い標識が現れた。山頂と呼ぶべきか、迷うほど特徴のない頂だった。

 新越山荘は小ぢんまりとした小屋である。人も少ない。種池を経由する登山者の多くは鹿島槍か、その先の五龍を目指すからだ。しかし、このコースはいま、花ざかりであった。それは、別の回で紹介しよう。

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7月29日、鳴沢岳から針ノ木岳を望む。山頂は雲の中だった

 
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7月28日、種池を過ぎたあたり、チングルマと残雪。景色はガスの向こう



 
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7月28日、柏原新道に入って1時間余りでケルンに到達。とにかく暑い


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