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中国山地幻視行~風は日本海から・比婆山 [中国山地幻視行]

中国山地幻視行~風は日本海から・比婆山

 5月14日、比婆山縦走路。六の原から出雲峠に向かう途中、細かい雨粒がほおをなでた。頭上を風が舞っている。時折、日差しがのぞく。寒気団が入りこんだときの、典型的な空模様だ。

 出雲峠でひと休みしていると、女性が一人下りて来た。毛無山に向かうようだった。こちらは、烏帽子山への急坂に向かう。山頂に近くなると、一段と風が強くなった。女性がまた一人下りて来た。「きょうは天気がいいと思ったのにねえ」。どちらともなく、あいさつ代わりに言葉を交わす。

 烏帽子の山頂は、風が吹き荒れていた。どうやら、日本海かららしい。空は晴れたり、曇ったり、雨粒まじりだったりと、忙しい。さてどうするか。このまま比婆山への縦走はエネルギーをロスしそうだ。5月の快晴を想定して、それほど防寒・防風の装備をしてきたわけではなかった。いったん、烏帽子と比婆山の鞍部に下り立ち、そこから南側斜面をトラバースするコースを選択した。風は弱まり、新緑が目にしみた。

 縦走路へと登り返す。再び風が強まる。池の段への登りは断念せざるを得ないだろう。急登にかかる手前の鞍部から下ることにした。時計を見ると、登り始めてここまで2時間半が経過していた。急速に空腹が感じられた。風裏になった杉林で、昼飯とする。杉林の向こうの稜線は相変わらず晴れたり、曇ったりだ。風の強さも、木立の揺れで分かる。

 ラジオをつける。鳥取のFM放送らしい。ちょうど昼時、どこかの中継をやっていた。「とてもいい天気でーす、稜線もくっきり見えまーす」と女性アナウンサー。なんとも皮肉なこと。こちらは薄暗い杉林で、ぼそぼそと昼飯を食っている。厳寒の山小屋で凍ったかまぼこを食い「俺は何をやっているんだ」とつぶやく加藤文太郎の心境がよく分かるというものだ。

 それでも下山口あたり、ミヤマタンポポらしい鮮やかな黄色い花が日差しに揺れていた。振り返れば薄い雲の向こうに青空が透けた。

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この季節、縦走路を走るレースが行われている。そのためのプレート。次の日曜日らしい 
 
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烏帽子と比婆御陵の鞍部。ここから南斜面にトラバースした
 
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イカリソウを一輪みつけた。風で揺れていたため、うまく撮れなかった 
 
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ミヤマタンポポの鮮やかな黄色 
 
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雲の向こうに青空がのぞく
 
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六の原にある金屋子神社の杜。付近では、中国山地で盛んに行われていたたたら製鉄の炉跡が発掘された

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山子路爺

小さな社の雰囲気がいいですねぇ〜

by 山子路爺 (2015-05-19 22:20) 

asa

≫山子路爺 さん
とても古いものらしいです
by asa (2015-05-21 08:01) 

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