中国山地幻視行~至福の時・深入山 [中国山地幻視行]
中国山地幻視行~至福の時・深入山
中国自動車道を下りる時、不安がよぎった。雪はあるだろうか。このところ、好天続きである。明日から崩れるらしいと予報が流れて12月27日、急きょ山へ向かったのである。とりあえず、カンジキとアイゼンは積みこんだ。
深入山(1153㍍)。雪山の手始めは、たいていこの山だ。山麓に着くと、先ほどの不安は杞憂であることが分かった。なにせ、駐車場にさえ入れないほどの雪が待ち構えていた。やむなく、道路端に車を寄せた。
空は極めて濃いブルー。ときどき、刷毛でさっとなでたような雲が流れる。はやる気持ちを抑えてカンジキを着け、雪原へ踏み出す。朝方の放射冷却で雪は固い。かすかな踏み跡があるが、うっすら雪で覆われている。昨夜あたり降ったのだろうか。見渡す限り、新雪である。これほどの雪山は近年、体験したことがない。なだらかな山腹、どこからでも登れる。
一気に登ってしまうのがもったいない、と思い、中腹の松の木の下に腰掛けて、しばらく雪景色に見惚れた。下から男女二人連れ。「天気がいいですね」と声をかけると、「まったく」といいながら登って行った。そんなの急がなくてもいいのに、と思ってしまう。
二人の踏み跡をトレースして登る。別ルートから二人連れが山頂を目指すのが見える。
山頂は360度の展望。風はほとんどない。広島県の最高峰、恐羅漢のスキー場が白く輝いて見える。例年白く凍る聖湖の湖面は、また凍っていないようだ。
頂上には、先行した4人がいたが、そそくさと下りて行った。こちらは腰を据えて、握り飯をほおばる。ガソリンコンロで湯を沸かし、コーヒーを淹れる。この景色、十分に楽しもう。
山頂を少し下りたところで家族連れらしい3人。ピークをバックに、写真をお願いした。あとはのんびり、気ままなコース取りで雪原を下った。至福の時であった。
見渡す限りの新雪 |
快晴・微風 |
先行者二人。頂上は近い |
山頂 |
聖湖の湖面はまだ凍結していない |
次はあの恐羅漢かな(白いゲレンデが見える山) |
雪紋 雪と風の芸術 |
青空と雪景色のコントラストが眩しそうです。!(^^)!
中国山地の雪は多く、期待通りでしたね。
こんな山頂ではゆっくりと山の空気と景色を楽しみたいですね。 ピークだけ踏んですぐ下山する方が多いんですが、こんな楽しみをあじわえないなんてもったいないです。 まったく同感です。
by Jetstream (2014-12-27 21:37)
≫Jetstreamさん
まったくね。いつまでもいたい気分でした。ご覧のとおり、この山は木が少ないので、雪山として登るには最高の山です
by asa (2014-12-28 08:30)
雪の有る山はやっぱり素晴らしいですね。
さて今年一年おつきあい頂きましてありがとう御座いました。
来年もよろしくお願いします。
それでは良いお年をーーー。
by 山子路爺 (2014-12-28 14:45)
≫山子路爺さん
どんな低山でも、雪山は感動ものです
こちらこそ、お付き合いいただきありがとうございます
どうぞ、よいお年を――。
by asa (2014-12-29 13:25)
どの程度の積雪量だったのでしょうか? 真っ白い雪麺に自分だけの足跡を付けながら登る・・これは堪りません。
by おど (2014-12-30 22:35)
≫おど さん
雪面は、見た目にはフラットですが、実際にはかなり深いところ、浅いところがあります。風が当たる尾根や山頂付近は、くるぶしが埋まる程度だったと思います。吹きだまり状のところは、ももまで埋まるぐらいです。ただ、朝方は特に雪が固く、カンジキやスノーシューがあれば快適に登ることができました。
by asa (2014-12-31 09:14)