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中国山地幻視行~船通山・神話は風のごとく [中国山地幻視行]

 中国山地幻視行~船通山・神話は風のごとく

 
 山頂は神楽の舞台のように平らで広かった。石造りの祠があり、そばに細く天に向かって立つ石碑があった。剣の碑だという。風が遠く日本海から吹いてくる。気温10度。しかし体感温度はもっと低い。枯れ枝に赤い実が揺れていた。紅葉はほとんど散ってしまっていた。冬が近い。小雪が舞うのも、そう遠くはない。
 1115日(日)、船通山(1143㍍)に登った。鳥取と島根の県境に位置する。登山道は両県にあるが、鳥取側から登った。早朝に広島を出て中国山地を走る。国道の路面には枯れ葉が舞う。そんな季節になった。広島県境を越えて鳥取県の日南町に入ると国道183号を左手に鋭角に曲がる。島根県の横田方面へと向かう。しばらくして大きな標識が目に入る。右手に車を乗り入れる。標高700㍍近くまで車道を行く。駐車場に車を置き、登山道に取り付く。
 沢伝い、広葉樹林の中の道。10分ほどで分岐点。直登コースとう回コース。標識には健脚向きと一般向き、とある。直登コースを行こう。階段状の道が続く。なかなかしんどい。沢の音が心地いい。水量は豊富だ。頂上のすぐ下でも、ごうごうとあふれている。
 この山は島根県の斐伊川源流とされている。この水が日本海へと注ぐ。斐伊川はスサノオノミコトが退治したとされる八岐大蛇の化身とも言われている。この山に八岐大蛇が住んでいたという神話は、斐伊川源流であることに発しているのだろうか。頂上にある石碑はそのときの「天叢雲剣」(アメノムラクモノツルギ)を模したものらしい。頂上のすぐ下に大きなイチイの木。樹齢は1000年とも2000年とも。高さは5㍍ほどだが幹は太く、枝は大きく横に広がって耐えてきた風雪のすごさを語る。そういえば広島県の比婆山にある御陵の入り口にも大きなイチイの木がある。
 頂上からの見晴らしはとてもいい。しかしこの日は遠くの山なみはかすんでしまっていた。条件がよければ大山も三瓶山も、大万木山も見えるらしい。道後山はなんとか確認できた。眼下には出雲、伯耆の神話の里が広がる。だがこの日は、米子の町が見えた程度だった。
 帰りは往路を下った。ひっそりとモミジがゆく秋を惜しんでいた。分岐点の標識には頂上まで40分、とあったが普通の足ならもう少しかかるだろう。標識には小さな文字で「55分かかる」と落書きしてあった。

 
 駐車場(10分)分岐点(50分)頂上(50分)駐車場

 ★歩行時間には撮影時間が含まれています。

 
2009 11 15_船通山_1059のコピー.jpg

 草原が広がる山頂。剣の碑の左は避雷針らしい

 
2009 11 15_船通山_1051のコピー.jpg

 日本海方面を望む。残念ながら遠くはかすんでいた

 
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 イチイの古木。太い幹が風雪を物語る

 
2009 11 15_船通山_1065のコピー.jpg

 秋の残り

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 登山道は晩秋の気配

 
2009 11 15_船通山_1084のコピー.jpg

 頂上のすぐ下にある水源。この水も日本海にそそぐ

 2009 11 15_船通山_1086のコピー.jpg

 分岐の標識は40分とあるが、もう少しかかる


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よしころん

気持ちのようさそうな頂上ですね♪
祠や石碑が沢山! 昔から開かれていた山のようですね。
by よしころん (2009-11-23 10:47) 

asa

けっこう、この辺りには神話の舞台になるような山がたくさんあるみたいです。

by asa (2009-11-23 13:23) 

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