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中国山地幻視行~大峰山・赤と白の世界 [中国山地幻視行]

 中国山地幻視行~大峰山・赤と白の世界

 
 大峰山に向かう道は、マンジュシャゲが咲き乱れていた。「咲き乱れていた」というのもなんだか変か。そんな形容詞が似合う花とも思えない。「田の畔道をマンジュシャゲの群落が赤く染めていた」と言ったほうが、正確かもしれない。
 このマンジュシャゲを写真に収めたが、画像調整に苦労した。露出のかげんや色の調整で、すぐにつぶれてしまうのだ。つくづく、赤は難しい。といってもフィルムで撮っていた時代はもっと大変だった。デジカメになって、少しは改良されたような気もする。
 2009 09 28_大峰山_0454のコピー.jpg

 斜面に咲くマンジュシャゲ。彼岸花ともいう


 

 色の調整だけでなく、「赤」という色は難しい。なぜだろう。「赤」は火の色であり、血の色である。つまり、人類の「原始の記憶」を呼び覚ます。人間は「赤」によって鼓舞されるから、軍服に使われる。ローマ帝国を支えたのは「緋色の軍団」だったし、ナポレオンもスタンダールも、赤と言えば軍服だった。「士気を鼓舞する」と同時に、流れる血を隠す「保護色」でもあった、とも言われている。この辺の蘊蓄はエイミー・B・グリーンフィールド著「完璧な赤」(早川書房)に詳しい。
 そろそろ本題に戻らなければならない。大峰山は奈良が知られているが、この日登ったのは広島の大峰山である。奈良の大峰は「大峯」と書く表記が多いようだが、広島のそれは「大峰」と書くのが多い。ただ、地元の人たちの中には「大峯」と称する向きもあるようだ。そのせいか、山頂の看板は「大峯」「大峰」の両方がある。
 1050㍍。広島市内から最も近い千㍍峰と言われている。独立峰だ。ということは、登り一辺倒で結構厳しい。ただ、1時間余りで頂上に着く。「ちょっと登る」には手ごろな山だ。
 2009 09 28_大峰山_0441のコピー.jpg

 頂上の看板は、消えかかっているが「大峯山」と「大峰山」の両方がある


 

 収穫を間近にした稲穂が揺れる麓は晴れていたが、頂上付近はすっぽり白いガスに包まれていた。大きな岩を登ったころには、視界ほぼゼロの状態だった。熱いコーヒーを飲んでいたら横風が厳しく、早々に下山した。
 2009 09 28_大峰山_0448のコピー.jpg

 林間に静寂が漂う





 
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