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北アルプス幻視行~不帰キレットを行く [北アルプス幻視行]

 白馬岳から唐松岳へ~不帰キレットを行く

 

 八方尾根から唐松岳を経て五竜岳、鹿島槍へと縦走したのは2000年の夏だった。尾根の右手に広がる白馬連峰は唐松に近づくにつれ、険悪な表情をしていた。「あそこをいつか渡ってみたい」。その夢をこの秋、実現することができた。

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 天狗の頭から唐松、五竜、鹿島槍を望む


 白馬鑓そばの天狗山荘を9月20日午前6時20分に出た。天狗の頭を越え、天狗の大下りに着いたのは7時すぎ。上部は鎖場が続き高度感がある。緊張しながら標高差300㍍を一気に下り、最低コルに7時55分着。左手に富士山がよく見える。その両側に南アルプスと八ヶ岳の山なみ。反対側には日本海が広がり、新潟らしい町並みも望める。快晴、微風。


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 不帰のキレットの険悪な表情


 しばらく休憩して不帰Ⅰ峰山頂に8時40分着。やせた稜線を鞍部へと下り、いよいよ不帰Ⅱ峰だ。キレットの核心部ともいえる壁が待っている。
 標高差は100㍍以上あるだろう。「どこをどう登るのか」。垂直の壁を見上げると不安にかられる。先行者に続いて鎖を持ち、日本海側へとトラバースする。上から下りてきた3人連れとぶつかり、鎖を持ったまま離合。緊張の瞬間だ。
 しばらく行って、今度は信州側に折り返す。岩稜の溝状のルートを登り、やせた稜線を乗っ越すと細いが平らな道が現れた。この道に沿って岩峰を巻き、1㍍ほどの鉄ばしごを登って信州側を行くと鎖場。ここを慎重に越えると、やや広い山頂に着いた。不帰Ⅱ峰北峰の頂だ。Ⅰ峰から1時間弱。進行方向には不帰Ⅱ峰南峰と、その向こうに唐松岳が見える。
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 キレットの核心部、Ⅱ峰北峰の壁

 

 八方や五竜岳方面から見ると平坦な唐松岳の山肌が、キレット方向から見ると極めて陰惨だ。だが危険なルートはⅡ峰まで。とがったⅢ峰も頂上を巻くようにルートが付けられ、ここから唐松の頂へは、壁の縁の平らな稜線を行く。11時すぎ、唐松岳の頂上着。天狗小屋を出てちょうど5時間だ。かなりスローペースの縦走だったが、コースタイム内に収まった。
 頂上は快晴。剣岳がすばらしい表情を見せていた。
 天狗小屋までは19日朝から白馬の雪渓を詰め、白馬三山を縦走。夕刻に天狗小屋に入った。雲海に剣岳や立山、槍が岳、穂高連峰が浮かんでいた。幸いにも全日程、快晴に恵まれた。

 
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 唐松から見た剣岳


 
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 雲海に浮かぶ剣岳。左遠方に槍が岳と穂高も見える(白馬鑓頂上から)


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